奥浜名湖の家 2026

奥浜名湖の家 2026

PRIVATE HOUSE

竣工 2026年
場所 浜松市
構造 木造
用途 専用住宅
施工 竹工建設
撮影 長谷守保

木材など同様に敷地も「素材」であり、2階リビングから湖面を見下ろす構成として最大限生かした。
我が家ができて間もない頃からワイン会を開きに来てくれていて、価値観は言わずとも伝わっていた。
施主や土地との幸運な出会いに対し、今の設計者なりの価値観を出し切ることができたと有難く思う。


15年ほどの友人としての関係から設計を依頼され、知人より紹介されていたこの土地と、素晴らしいタイミングでのマッチングから始まりました。
敷地は結構広いので平屋で検討を始めましたが、とある機会に奥浜名湖を少し高いところから見下ろす素晴らしさをちょうど体験して、これはリビングは2階にせねば、となりました。
我が家も同じ2階リビングで、よくワイン会を開催しにきてくれたお二人は、我が家が好きなこともありましたし、似た感じになり。。


2階リビング。奥浜名湖は北向きなので、ギラギラ明るすぎることもなく朝夕の微妙な光や景色の移ろいが繊細で見ていて飽きない。
南向きの庭というのは日当たりという面で一般的だけど光や熱の出入りが強すぎるので北向きの庭はとても良い。

料理も本格的にされるので、そのうち週末、数組限定、とかで飲食をやりたいそうで、業務チックなキッチンやカウンター。営業許可も取れる仕様にしてます。
北の窓は全面窓にするために、鉄のブレースを左右に忍ばせてきちんと長期優良住宅仕様を確保。木の柱にサッシを隠したり、細かな工夫をしてサッシ感が出ないようしている。

南の窓も同様にブレースで全面としつつ少し腰高さを上げ、日の入りや視線のバランスをとっている。
正方形の空間なのでピラミッド型の屋根と天井にしていているが、やはり整った印象になる。
天井の木骨は、5年くらいやっている「竿縁」の勾配バージョン。構造材は天井に隠れているので無駄に力強すぎたりせず、節のない良い材が使いやすい。

内と外の天井と竿縁が連続して内部と外部が自然につながり、より景色が身近に感じられる。

住宅は心身を落ち着かせ、癒す場所だと思うので、日本人なら「旅館ライク」であるべきだと思うし。ホテルライクは家のための言葉ではない。

景色があまりに非日常すぎて、撮影した自分でさえ、CGか?と少し思ってしまったくらい。確かに今後画像や動画もさらにアンリアルな世界をリアルに感じさせるようになってくるのだろうからこそ、実際この場所に身を置いて、全身の感覚で自ら感じ、どんなに技術が進もうとも、自分の身体で感じたことだけは犯せない、と感じなきゃいけないと、改めて思う。
2階リビングの場合は上下動線がネックになるので階段1段でも減らしたいのもありスキップフロア。
玄関土間から小上がりの和室も天井高をギリギリ下げ、この上に2階を載せているので外観を見ていただければ2階もなんか低いのがわかっていただけるかと。


階段2段上がると寝室や水回りのある、いわゆる1階。和室は障子で閉じられ、早速ご家族やら友人やら泊まりに来て寝る場所として活躍しているよう。


玄関入って右すぐにワインセラーが4畳もあり当面は訪ねて来られた方にワインを売ったりもするよう。
和室はその待合にもなったり、左に抜けるとBBQ?スペースがあり和室からも出入りできるので寄ってひっくり返ることもできる。

そして2階に上がる階段があるのだけど、このあたりの設計(施工も)が実はかなり複雑で長期優良住宅を取るにも結構工夫?ややり取りが必要だった。
でもこういう際どい設計ができなくなったら毎日の快適さや見た目の繊細さなども実現できないので、頑張らなければ、と思う。

お風呂からはもちろん湖面が見えて素晴らしい。ブラインドはなくてもやっぱり全然平気とのこと。
我が家と同じ桶の風呂にご希望の緑のタイルを合わせてみたら、思いの外良い感じに仕上がった。面台には使えないタイルだったので似た感じの御影石。

今時の建築費高だけど基本的に建物の素材や設備や、、そちらを落としたくないので外構費はついついなくなってしまう。
限られた費用で建物とバランスが取れた外構になんとかするにはメリハリ、ある種の強さが必要で、、このすごいサルスベリを、本数減らしてでも植えて。大成功。
我が家のシンボルもサルスベリ。樹木も人間も同じ、本当に個性があり、でもその持って生まれた素質は大きくは変えられない。
16年前に我が家を作ったことが縁で知り合い、今、この住まいができた。育ててゆくこともすごく大切だけど、建物の「素質」はきちんと設計をしなければできない。