アンジェロ・マンジャロッティ

  • 2023.12.20
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先日SNSに舞阪の家の写真をあげたら建築エコノミスト?森山高至さんからコメント頂きびっくり。
森山さんは建築家の世界のダメなところをバサバサ切りながら、でもデザインする側の高い見識できちんとした評価をされていて、すごい方だなと思ってました。
東京五輪の問題やら、今は大阪万博の問題やら、単に感情的な感想として批判するのでなく、きちんと情報を集め、彼の価値観で整理した上で発信しているので、多くの共感を得られていらっしゃる。これは本当に真似のできないことなので、今後も是非ご活躍いただきたいと思ってます。。
で、いただいたコメントをそのまま転載してしまいますと、

「天井の良し悪しは写真をひっくり返して見てみると、よくわかるんです。
スカルパとかカーンとか見ると、天井までデザインされてることが分かります。
一見、やってるように見えて、天井が全然ダメな建築も多いのです。
長谷さんの天井はひっくり返して見ると非常に構築的な秩序がありますが、大梁小梁的表現じゃないころが非常にユニークで、軽ろ味というか鉄骨造の梁現しにも似たX軸Y軸に対しユニバーサルな感じ、ちょっとアンジェロ◦マンジャロッティみたいでもあるな、と感心いたしました。」

と、天井に思いを込めて進めてきているので本当に嬉しく思ったのですが、軽ろ味、というのもしばらく前に芭蕉のことで書いた通りとても意識してきていたので、改めて凄い方だなと思いました。
そしてマンジャロッティについては、知ってはいましたがデザイン的にも遠く、縁もないかと思っていた程度だったのでびっくりして、早速本を買って読んでみた、ということです。
彼の作品を僕なりに表現すると、実際彼のスケッチ自体が美しく、オスカー・ニューマイヤー的な芸術的で特殊なものも作れてしまいそうなところをあえて抑えて、「普遍」を目指し、本のタイトルにもある「組み立て工法」というのにこだわっている。結果として工業デザイン的なものになっていて、それをセンスなくつくれば、単に構造が勝っただけのものにもなりかねないけれど、その繊細なパターンの繰り返しとしての表現にとても詩情が感じられるところが優れているところ。そして僕が作っている竿縁の住宅のデザインもそんなことを目指しているつもり。
そして本来の日本の木造ってそうだったのだと思うけど、木造でも仕上材で覆ってしまって何造?なのかわからない建物や、表層として木のルーバーで覆うようなものは、そこからは離れてしまうから、マンジャロッティには似てこないのだろう。という意味では僕にとっては大きな褒め言葉だなあ。

彼の作ったものはプレキャストコンクリートがメインだったり、木造とは根本的には違うところもあるけど、「組み方」を考えながらデザインをしないと施工や費用含め、本当に良いものが生まれない、という意味では共通するし、今後につながりそうなとても良い刺激を受けさせていただきました。