Proof

  • 2009.04.06
  • BLOG


日本語タイトル「プルーフオブマイライフ」です。
精神のバランスを失った天才数学者の父の世話をしていた娘もまた、父と似て精神のバランスを崩しかけ、でも、父が亡くなる前に、共同研究の中から偉大な定理の証明を完成した。ただ、そのときに正気に見えた父が正気ではない事に気づいた娘は、その証明を封印してしまうが、父の弟子でもあった青年と出会った事でその証明を公にしようと決心する。
数学という学問は、「客観性」と切り離せない数少ない世界だと思います。
つまり、他のほとんどの世界は、「解釈」によって様々に受け取られてしまうので、誰が見ても明かな事というのはそれこそ「神」くらいになってしまいます。
まあそれは、「言葉」というものの曖昧さがもつ宿命なのかなと思いますが、でも逆に、様々な解釈があり、様々な価値観が生じる事で、人生というのは豊かで、懐の深いものとなるんだと思います。
だから、数学というのは、逆にとても厳しい世界なんだと思います。
僕なんかも数学は決して嫌いな方ではないけれど、人生をかけて数学に向かい合っていたら神経症になってしまいそうだと思います。
でもたまに、数学という世界の純粋さというか、例えれば、登山のように登るべき相手がはっきりしているような部分が羨ましくもあり、逆に言うと、建築なんて、何を信じたら良いのかがなかなか分からず、分からないうちに波に飲まれてしまうような悲しさがあります。
でも、その天才数学者を父に持つ娘は、数学によって人生を曲げられてしまいかけていたけれど、でもでもやっぱり、数学によって自分の存在を証明したというか、数学を通してしか自分を位置づける事ができないことに気づいて、やっと心の安定を手に入れたんだと思います。
人間誰しもが、自分の存在を確かめられるような何かを、心の奥でほしがっていると思います。
そして、努力すればしただけ、その存在は、良い形で証明されるんだと思います。
さあ、ぐっすり寝て、明日もがんばろ〜っと。