葉隠

  • 2011.01.16
  • BLOG


たまたま書店で手にして、初めて「葉隠」なんて知りましたが、佐賀鍋島藩の武士の心得を記したものとして、三島由紀夫が座右の銘の書ともしていたそうです。
半分を占める写真たちも美しかったので買ってしまったのですが、記されてもいるように、武士道というのは、日本人の美意識を体現していたとても大切なものだったと思いますし、僕もとても共感する所が多く、色々な言葉たちがすんなりと入ってきました。
分かりやすく書いてしまうと、君主を絶対的存在とした、藩などの全体をより良く存続させるために、自らの命などには全くこだわる必要はなく、美しく命を差し出せれば良いと、そんなところから、様々な生き方の指針がつくられているように思います。
ラグビーで言うと「One For All」
今の時代は個性だの自由だの好き勝手言ってますが、僕はそんな価値観は単なる堕落としか思えなくて、自分1人なんて、生命体で言えば、一つの細胞にしか過ぎず、細胞と同じで、寿命がつきれば新しい細胞にどんどん入れ替わってゆくだけで、それで生命体が健全に保たれる、それと同じだと思ってます。
それは決して後ろ向きな消極的な事じゃなくて、その事(つまり死ですが)に正面から向き合って、自分に出来る範囲の事をきちんと見定めた上で生きて行く方が、個人にとっても、そして全体にとっても、よりよい事なのではないかと
生命体の喩えで続けるなら、ある細胞が、死ぬ時期にも関わらずそれを認めなかったり、自らの役割をかってに変えたとしたら、生命体は保たれなくなりますよね。
そんな意味で、僕は設計という個性のあるような仕事をしてはいても、「作家性」というものにはとても消極的なつもりで、きっと僕がいなくても、素直に建築に向き合っていれば、同じような判断をするだろうから、決して僕の作家性でつくっているのではないと信じています。いわゆるアノニマスですが。
今日は雪が随分舞っていましたが、その向こうにそよぐ緑を見ながらこんな本を読んでいたら、少し気持ちが浄化されたように感じられます。