美味しいサンマはなぜ消えたのか?

  • 2024.03.10
  • BLOG

木造住宅の世界の問題とダブるところを感じて読んでみたけど、やっぱり。。
大量に売るために、常に同じ質や規格のものを安定した価格と量で提供しなければいけない。この今の世の中では当たり前のようなあり方は、もちろん一昔前にはなかったし、詳しくないけどイタリアやらでも近くの小さな市場で野菜や魚を売主の話を聞きながら日常的に買う、というのは以前の日本もそうであったはずだ。
つまり私たち買う側でなく「売る側」の理論で流通が変わってきた結果、本当は良いものだけど、上記の安定性がないため売りにくいものが排除されて売れなくなり、それを供給する側(漁師とか)も良いと分かって居ても収入にならなければアホらしくなる。という構図。

そしてこれは住宅産業、特に木材の世界では同じ。安定的に大量に生産したいハウスメーカーが、本当は良いのに安定性がなく扱いが難しい天然素材を避けて樹脂の塊のような住宅が当然のようになってしまったことと変わらない。特に木材は「大トロ」のような素晴らしい材も取れるのに、面倒臭いからその価値を貶め、「木材は乾燥で割れるほど強度があり、節がある方がムクらしくて良い」という大嘘を木材関係者でも口にするような状況を作ってしまったのだ。
と、これが言いたくて本書を読んだようなものかもw

でも興味深かったのがノルウェーとの比較。今では大人気の寿司ネタのサーモンも当初は日本人には受け入れられなかったのをうまく売り込んで今に至っているそう。それもやっぱり年中安定した供給ができるから売りやすい面があると。サバも今ではノルウエー産がかなり多いのも同じ理由。
ノルウェーは日本の1/10くらいの漁師で日本と変わらない漁獲量があるから、とても待遇も良く儲かるらしい。でも取れる魚の種類はとても少ない。
かたや日本は効率は悪くてもとても多彩な、四季折々の魚介類に恵まれてきた。けど上記の流通ために、ノルウェー産に押され、漁師がより育ちにくくなってしまっている。。
「エシカル消費」というのであればやっぱりいつでも安く同じような外国産の魚(やお家)に手が伸びそうなのを我慢して、日本の風土で育ち、獲られたものを選ぶことで、それが日本の文化と雇用を守る小さな力になり、結局自分に帰ってもくるのだ。と思わなければいけない。

大量生産されているものを安易に買い続けることで、僕ら自身も安売り製品のような扱いを受けるのだ。