竣工写真/永田木材加工場

  • 2022.01.05
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2階は今後地域に開放された場所として内装など進められるためスケルトン状態ですが、随分時間がかかってしまいましたがとりあえずの完成です。
当初は工事を急ぎたいとのご要望もあり、とある特殊工法(といっても集成材でなく製材でできる)で設計をまとめましたが、諸事情で時間が空き、やはり地域の大工さんでできる一般的な工法でやりたいとのことと、構造家の山田憲明さんに依頼されたいとのことで構造体のデザインを見直しつつ構造設計をお願いしました。
本計画の特徴として、まず一部ですが2階があり、その下は加工機械があるため柱をできるだけなくしたい、というもので、本来木造ではなかなかハードルの高いものですが、2階の手前部分がメガトラス(2階壁部分全体がトラスになっている)となっていることなどで実現できています。2階の床は240の杉材を2段の重ね梁として規格寸法の製材でも実現できるようなやり方として、合計480の梁成ではありますがこれだけのスパンを飛ばせるというのは木造の可能性はまだまだあるなあと感じます。
また搬出入のため5m程の高さの大きな開が必要でしたが、ハンガーレールで引戸をつけ、向かって左側に引き込めるようにしています。

スケルトンの2階部分ですが、逆に構造体が見渡せますし良い感じです。また上部の三角の部分は透明なポリカが入っているので、このまま構造体が繋がって見えることになります。
これだけの大きな木造の屋根を実現するのに、合板を屋根面に張るだけでは持たないので、背骨(キール)部分に斜め材を入れて強い力の流れを作っていますが、加工の手間もちょっと大変だったようです。

外観については建てられる敷地いっぱいに立ち上げるしかなかったのですが、上記の5mの大きな開口が空いてる時もしまっている時も外観をを引き締めてくれるように考えましたが、せっかくこれだけの木造の空間を作るのですから、構造体が少しでも外部に伝わるよようにしたいと思いました。


外壁は裏はメンテやコスト上ガルバ、正面は永田さんのご希望で厚い杉板で素材感が出ています。2階の窓は山側の良い景色が切り取れるのでできるだけ大きくしながら形も整え、単なる工場のように見えないように配慮をしています。

しばらく前に完成している事務所棟もそうでしたが、早く2階も完成されて、いろんな方に見ていただいて、木造(決して集成材でなく製材)でもこんな大胆なことが可能だし木材の美しさも生かされるんだ、ってことを感じていただいて、今の潮流のようにただ沢山国産材を使えば良いというフェーズから、次の、質の段階に進んでいただく小さなきっかけにでもなってもらえればとても嬉しく思います。