母の声、川の匂い
- 2014.07.25
- BLOG
どなたかが触れていたので買っおいたんだけど記憶が。。
著名な文化人類学者が、生まれ育った東京の濃密な下町の匂いと、そして母の声を回想しながら、最初はそんな濃密さが嫌でそこから一番遠いと思われるアフリカに向かい、でも戻って来てしまった自分について書いている。
自分自身と対比すると、残念な事に僕が育ったのは区画整理されたばかりの単調で歴史なんてない地域で、そして両親は仕事が忙しかったのもあるがほぼ放任で、叱られる事も誉められる事もなく育ち、この川田さんみたいな濃密な育ち方をしていたらどんなに違っただろうと羨ましく常々思っていたのだけどそれを改めて痛感しました。(もちろん生み育ててくれた両親には感謝してますよ)
濃密な人々の暮らしや濃密な文化や街の環境などというのは、その時は恐らく重っ苦しいというか余りにメッセージが多すぎるからというか、自分を自由にさせてくれないように感じてしまうかもしれないし、一方で僕が育ったような環境というのは広い水槽で敵もなく単調に同じエサを与えられているような、というか不満はないけど自分がボーッとしていれば何も刺激を与えてはくれないというか、だから僕も、確かに虫やザリガニや魚は散々取ったりしてましたが、それ以外に特に文化的な事に欲がないというかボーッと育ったようにも思います。
まあそれが必ずしも悪いと決める事もないけれど、僕の人間観は、他の動物と違ってせっかく良くも悪くも多様な選択肢を持って生まれて来たんだからより良い選択肢を追求し続けるのがせっかく人間に生まれた価値だ!というものなので、そういう意味では、やっぱり川田さんのような出自が羨ましくなるわけです。
でも2周遅れ位かもしれないけど、まあ何とかそんな事に気付いたんだから、と今後の人生を楽しんでゆくつもりです。