日本旅館進化論
- 2023.01.21
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アマン伝説と同じ著者でご実家が有名な富士屋ホテルで、星野さんも代々旅館をしていて接点もあったようで、伝統的な旅館という存在に対し、星野さんもコーネル大学でホテル経営を学んだからこそこれから進むべき方向を模索し、ここまで上り詰めたように、同じような方が沢山いらっしゃって、影響しあってきたからこそ今の状況があり、星野リゾートもその結果として生まれてきたようなもの、のようだ。
ホテル業界では有名だったという新田善三郎という海軍出の方がホテル経営をとても合理的に成功させていたそうで、でも旅館を同じようにやったら旅館は必ず潰れると言ったそう。つまり旅館は家族経営で時間も関係なく働き、お金のこともどんぶり勘定で、、やっとなんとか経営が成り立ち、合理的に経理や他の仕事を第三者に任せ出したら経費が1割とか上がって利益が吹っ飛ぶと。
まあ一昔前の話なので、今の新しい旅館的なもの(もっと大規模とかとても単価が高いとか)には当てはならない。
また、戦中戦後、旅行なんて贅沢だから「遊興税」なるものがかけられ、2000年に消費税ができるまであったらしく、「遊ぶことは悪いこと」と日本人は思い込まされてきた面があって、でも高度成長する中で「ハトヤ」みたいな巨大な観光ホテルができて、会社や団体で行って、その時くらいは無礼講、とそんなホテルが日本中にできたけど、バブルの終焉や、企業や団体旅行(セクハラの温床だったそう)がなくなり、そんな観光ホテルが急激に落ちぶれてゆく。そんなホテルたちが倒産したり、客も来ないままボロボロになりかけて続いていたり、そんな時代背景だったんだと、なるほど〜でした。
そんな大きな背景の中で星野リゾートや、他の新しい取り組みをする旅館の事例が沢山出ていて勉強になったけど、それぞれ結局「らしさ」の追求をしたのだと思う。つまりそれまでの古いタイプの旅館は「型」から抜けられず、時代の流れで沢山できた観光ホテルは時代が変わると適応できなくなり、身の丈や、その地域にしかないものの中で最善を尽くしてゆく中で、星野さんはもっと広く、「日本の旅館」という概念を彼なりに構築して、寿司や車がパリにもあるのだから旅館もあるべきだ!と言い続けているそうだ。
なかなか中身は濃いのでご興味あれば是非。
たまに書きましたが、僕もいつかは旅館的なものの設計は是非やりたいと経験や勉強は欠かさないようにしているつもりだし、依頼がなければ小さくてもいつか自ら、、と思っているけど、「日常」「非日常」という言い方で言えば、僕が作りたいのはとても上質な日常で、それは住宅の延長だと思う。
そもそも日常ってほとんどの人が会社などで外に出て過ごす方が時間が長く、時間に追われ、そっちが日常、と考えたら、家に帰って短い時間でも心からくつろげば、それは非日常と呼んでも良いとすれば、その非日常ではあるし、僕は家でとてもくつろげるけど、それが困難な方も多いわけで、となると、もっと身近に良い「旅館」があれば良いなと思う。
浜名湖、舘山寺町あたり、木造で良いもの作れば行けると思うけどな〜〜。