日本史の誕生
- 2023.10.05
- BLOG
教科書の歴史も正しくないし、この著者が正しいわけでもない。けど歴史は重要だ。
本書にもあるけど、もし中国などとの関係がなければ「倭国」や「日本」名付けたり名付けられたりする必要もなく、あり得ないけど僕しか人間がいなければ名前は不要だ。
そして僕しかいなければ他人との関係の結果としての「歴史」も生まれないし語る相手もいない。
歴史とは他者との関係があって生まれるものだし、これからの他者との関係のために振り返るべきものではないか?
という意味で著者のスタンスははっきりしているし、歴史の大切さを教えてくれる。
ほぼ確かだろうけど神武天皇なんて後で作られた物語だし、著者曰くは聖徳太子も同じく作られた、いなかった人物だ、という論は納得できる内容だったけど、真実はもう分からないから何を信じるか?
色々細かな歴史はそんな興味も持てないし読み飛ばしたところもあるけど、骨の部分としては、聞き覚えのある663年の白村江の戦いで負け、日本が肩入れしていた百済が滅び、中国と新羅の脅威に脅かされるに至り、668年に天智天皇が近江律令を定め、「最初の」日本天皇となった。と。
つまり大きな外敵から身を守るために、自らのアイデンティティを確立した。そしてつまりそれは「鎖国体質」であり、「われわれが今日、世界の中で独立を保っていられるのは、早くアジア大陸と絶縁したおかげであり、また国際化で苦労しなければならないのも、まさにそのせいである。」と。
また「日本人にとっては、歴史というものは、常に存在していて、目に見えない力でわれわれの考え方、ものの見方、行動を支配しているものである。この感覚はアメリカ(独立戦争以前の歴史もなく、合衆国憲法の自由と民主主義のイデオロギーに忠誠を誓っただけ?の人々)の空気の中には存在しない。言い換えれば個人が他者から自由に意思決定できるなどと信じるのはアメリカ人くらいなものだ。」けど、日本人はそのアメリカの後を追わされている。
僕ら個人にも先天的、後天的合わせて、大きな個性による違いがあるように、国家もそうなのだから、声の大きい奴が生徒会長に成り上がり、自分の価値観を押し付けたり、自分はそれに本当は合わないのに合わせるしかないと思い込んでいる、というのはとても不幸なことだ。
歴史を学ぶというのはそういうことを知り、考え、自らの進み方を自ら考えることであるべきだろう。
それは国家のような大きな、自分とは関係ないと思えるレベルのものだけでなく、自分は何者で、何故今これに苦しみ、悩んでいるのか?とも強く関連している事だと思うし、建築の世界には建築の歴史があり、その生きた歴史を学ばなければ、良い設計などできるわけがない!のだ。