新建築10月
- 2015.10.07
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日建設計の「On the water」という中禅寺湖畔のゲストハウス、というか別荘。リッチだなーw
BIM(building information model)を駆使したそうだけど、その画面のまま出来た、昔でいえば模型のまま出来た、という印象ですが、それは大きい建築物であるほど褒め言葉ではなくて、スケールアウトしていて、ヒューマンではないという事だと思っています。例えば、20坪の住宅では余り素材感や装飾が強いと狭苦しく感じるのでミニマルな表現も良いと思いますが、大きいスケールの建築がそうだと、僕らがちっぽけな存在だと思わされてしまいますが、大自然に対して僕らがちっぽけだと感じるのは当然としても、建築物(宗教施設は別として)は、基本的には僕らの存在を優しく包むというか、僕らが存在していても良いんだよ、と言ってくれるものであるべきなんだと思っています。つまり人間は小さくて不安定な存在だけど、それを守るのが建築だと。
ま、これは個人の別荘だそうですし、その方は恐らく多くのものを持ってられる強い方なんでしょうし、こういう表現を敢えて求められたのかもしれないですし、夏だけつかうゲストハウスだそうですから、何も上記の様な意味で守ってくれなくても、「どうだ!」というあり方で良いのかもしれないですよね。つまり「わーすごいー!」という建築ですね。一方で僕の今の仕事の多くは住宅なので、「あー落着くわー」というものを目指しているからどうもこういう建築表現に批判的になってしまうんだろうことは自覚もしてます。でもでも、刺激の多すぎる世の中だから、やっぱり建築物はできるだけ「あー落着くわー」であるべきだと信じてます。
また同号に隈さんの「虫塚」という養老孟司さんが仕掛けた?日本人は昆虫採集とか好きなので供養するためのものが掲載されてましたが、細いステンレスパイプを立体格子で組んだものですが、プレゼンでは見栄えしたんでしょうしお金もかかってそうですが、なんだか軽薄なものにしか感じませんでした。関連して?新国立の案を隈さんチームも出されるそうですが、競技場のデザインにはまず向いてないと僕は思いますので、プレゼンがいくら良く見えても(見えるでしょうね)是非選ばれない事を祈ります。