新建築9月号/安藤さん
- 2008.09.07
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メディアとかでも紹介されているので既視感のある方も多いでしょうが、東急東横線渋谷駅です。
安藤さんらしい力技ですね。
僕は大阪に大学と設計事務所への修行で10年ほど居ましたが、大学の友人が安藤事務所にどっぷり出入りしていたりでいくつかの作品を安藤さんの解説付きで見られたりもして、そして安藤さんのあの強烈なキャラクターはとても忘れられない体験でした。
安藤さんはコンクリート打放しという表現に自分を制約することで、逆に大きな夢を実現してきたのだと思います。
対照的に思うのは隈研吾さんのようにとても器用に様々な素材を微妙なニュアンスで使いこなす方ですが、僕にはどこか素材や表現に追われているように感じる一方で、コンクリートでは、閉じるか開くかしかなく、その二つの組み合わせしかできないけれど、逆に空間のダイナミズムや表現の強さを勝ち得てきたように思います。
またこの地下駅も、地中に卵形空間を埋め込んだ訳ですが、実は1988年に大阪の旧中之島公会堂の再生提案(誰にも頼まれず勝手に描いたのです)で発表していたアイディアが、今実現したという面があり、何事もそうですが、建築にはそんな執念深さがないとダメなんだなあと、安藤さんを見ているとつくづく思います。
そんな執念深さと遠慮のなさ(良い意味ですよ)が時代から求められている結果なんでしょうけど、でも大きな安藤建築は、僕は良いと思えません。
建築というのは、大きい、というだけでとても暴力的にならざるを得ないのですが、その上にコンクリートで、さらに力強すぎる造形だと、ちょっと長居したくはない空間になってしまっているかな、というのが正直思うところです。
でもとても建築に向き合う生き方はとても尊敬し、目指したいとずっと思っている偉大な方ですね〜。