新年度
- 2023.04.07
- BLOG
ということで、自分の仕事のことなどについて少し書いてみます。
2000年に事務所を作り早いものですが、、「長谷守保建築計画」というフルネームを含めた事については、巨大な組織事務所は別として、設計というのは依頼主と設計者との強い価値観の共有に基づいて行われるべきだと信じ、その分自分は個人としての学びと努力を続け、独立独歩をしてゆかなければいけないと思ってきました。もちろんチームとして切磋琢磨してゆくあり方も素晴らしいと思いますが、それもなかなかハードルが高いものです。
こんなブログですがもう15年以上続け、中途半端だなあと思う内容でもその時考えたことなどを自分なりに書くこと(誰も読んでくれないとしても)や、設計させていただいたものは基本全て公開する(それも時系列で上げる事で最近何を作ったかバレるように)ようにしてきました。それは、そうすることによって自分を誤魔化せないようにするためでもあり、「隠さない」「見えるようにする」ことが良い結果につながると信じるからでした。
そしてその考え方の結果、設計も構造体を出来るだけ見せることによって、設計や素材や施工技術など誤魔化せなくなり、大切な本質的なものに近づけると考えるようになりました。また、建築とはできた時の見た目が大切なのではなく、「時の試練」に耐えてこそ価値がありますので、そのためにも「素材」に向き合う必要があり、ドヤ顔したデザインは避けなければならないと思います。
でもこの数年、コロナによる様々な影響もあり、「当たり障りのない」というか何の主張もないものがより受け入れられやすくなって、建設費が上がることによって「本物」が実現しにくい社会に変わりかけてしまっていることをとても残念に感じます。
設計の仕事を始めてもうすぐ30年になり、多くの建物を設計し作らせていただいてきながら、その責任の重さをいつも考えさせられますが、他方で、1割以上の家が空き家(浜松市は13%もあるそう!)になり今後加速度的に増えるのは避けられない中で、新築を作るのであれば本当に残る価値のあるものを作れないのであれば作るべきではない、とも言えます。そしてリノベがもてはやされる時代ですし、依頼があれば取り組みたいですが、その前に考えるべきは、それはお金をかけて延命させる価値がある建物なのか?そして新築に取り組むときにはいつか延命させる価値があるものにさせる!という覚悟で作らなければいけないと思います。
設計の世界ではだいぶ前からもう新築は減るから、リノベをするか中国に行った方が、みたいな話がありましたが、新築はいくら減ろうとも、まだまだ恐ろしい数の新築住宅などができているわけで、それらがHMやビルダーに奪われているだけで、設計事務所がもっと本気で、力を合わせて少しでもそれを奪えれば、儲からないリノベにしがみつかなくたって良いはずです(がそれができない)。同じ設計専業の事務所で志を同じくするような方なら、年齢関係なく交流して、お互い切磋琢磨できればとずっと思っているのですが、こちらから声をかけたい方もいないし、声もかからないwでもお待ちしてます。
活躍している料理人は間違いなく「素材」と向き合っているし、大量生産の素材からはそれなりのものしかできないように、建築でも石油を使った大量生産の建材に頼っていたら残す価値があるものはできない、と僕は思っていますし、良い素材を丁寧に産出してくれる方に少しでも大きなお金を支払ってあげることで真面目に働くことの大切さが伝えられると信じているので、今のような設計をしています。
それ以前に今の自宅件事務所に13年近く、毎日のほとんどの時間を過ごしつつ、理屈でなく感覚として、美しい木造が一番だ!!なのです。
でも言葉や画像だけでは伝わらないし、会ってみて、触れてみて、感じてみることを繰り返す中で初めてそれが本当に大切なものかどうか分かるものですし、またちょっとしたイベント的なことでも企画しようかと思っていますので、また告知します。