成城タウンハウスby妹島和世さん
- 2007.11.11
- BLOG
11月の新建築の表紙を飾っています。(毎月表紙の建築を取り上げようかと。月一度なので、続かなくても三日坊主とは言わない??)
妹島さんは、以前に有名な、岐阜県の北方住宅という公営賃貸住宅で、新しいあり方を提示され、その後の集合住宅に結構影響を与えましたが、ポイントは、今回は分譲である、ということと、タウンハウス(日本語では長屋建てとでもいうのか)であるということです。
元々、建築家の山本理顕さんが審査委員長のコンペで選ばれたものなので、やはり強い提案性のものになっていますが、やはり、分譲住宅というだけあってか、大成建設の設計部が設計に参加しています。おそらく、分譲住宅ということもあり、いろいろな意味での信頼性を買ったのでしょう。。
また妹島さんは、レンガを使ってみたかったと言っていますが、分譲住宅というある種の記号性にはレンガ(張っているのでタイルだといえばそうですが)がお似合いだったのかもしれません。
また、タウンハウスという種類の建築自体は実はそれほど多くつくられていないと思いますが、それは日本人が基本的に一戸建てを好む傾向があり、中途半端にくっついている形式としてのタウンハウスが受け入れられにくいからでしょうけれど、実際は、一戸建てで出来る、間の中途半端な土地が、有効に使える、という意味で、タウンハウスには低層で良い外部空間を生み出す可能性がありますし、この建築でもそのあたりが当然テーマとなっています。
小さな分棟がと小さな外部空間が市松的にばらまかれているわけですが、内部の住戸はその分棟を横断して、各住戸がまたがっていて、一つのボリュームの中に1住戸を入れるよりも、外部空間が様々な面で接することになるのが狙いかな、と思いました。
また、窓も大きく取られてはいますが、他の住戸とは壁と窓の位置を慎重にずらし、同じ外部空間を囲んでいても、それぞれに占有しているような見え方をしていると思います。
私も、ずっと、タウンハウスの可能性を思っていて、ちょっといろいろ調べた事もありましたが、やはり、外部空間を合わせることで少しでも豊かな外部空間をつくるということよりも、隣の敷地と権利関係がバシっと切れて、お互い気遣うことなく生きて行けるほうが良いようで、日本では(特に地方では)ほとんどつくられない状況です。
少し前の、西沢立衛さんの「森山邸」は単身の賃貸ですが、このタウンハウスは分譲ですので、今後入居者達の小さい子供や老人達が生活するなかで、外部空間がどのように活かされ、どんなコミュニティが出来うるのか、ということに大変興味があります。