大世界史
- 2016.02.29
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現代のミドルマンというかオピニオンリーダーというか。中身の濃い良書でした。
池上さんが教えている東工大では「リベラルアーツ(人を自由にする学問)」に力を入れているそうだが、まあ昔で?言うとパンキョー/一般教養ですが、死んだそれでなく活きたそれ。
池上さんはそれを「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」の七つに分けているそうですが、それらを身につける事で「偏見や束縛から逃れて自由な発想や思考を展開できる」ということで、本書もその一部と言えます。
まあでも日本の大学のパンキョーなんて教える方も学ぶ方もやる気がないのは皆さん記憶の事かと思いますし、僕も正直そうでした。でもその後、自分の進む「建築」という世界を通じて自然と興味をもち自ら学ぶようになったと思いますが、つまりは自分の専門領域は、建築に限らずどの世界でも、人々や社会と接続しているわけですから、その先には上記7つにもつながるわけでそれらを知る事でさらに自らの専門領域への知見も深まるのは当然と言えば当然です。今の日本は良く知りませんが、アメリカでは専門を教える教授が一般教養も教えていたりもするようで、本来はそうする事によって専門領域と一般教養がつながり、興味が初めて持てるのではないかな?と思います。専門領域しか教えられない、もしくは一般教養しか教えられない先生は、差別用語ですが、かたわ、ですよね。
本書は、新聞やニュースだけだと知り得ないような事、いや国の都合の良いように洗脳されている部分が多い事に気付かせてくれる内容が盛りだくさんですが、これはずっと思っている事でもありますが、国民みんなが世界の動きを理解する必要もなくて、こういう方々やそれこそ新聞やニュースに携わる方、そして地方も含めた議員さんたちこそがもっとしっかり理解をしなければいけないし、だって僕らは政治や経済や国際問題の専門家ではないんだから、それよりも自分の専門領域において、このお二人のように深い知見を持つところから始めて、その先にリベラルアーツも深められればなお良い、という事じゃないかと思ったりもします。でも、政治家も新聞もニュースも、とくにアベさんの元ではこのお二人の言葉では「反知性主義」つまりいくら合理的な説明をされても気に入らなければ聞かない、という風潮ですから国民ももう少しそれから身を守る強さを備える努力をするしかないのかもしれません。