地域社会圏モデル
- 2010.05.10
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建築の世界で話題の?本です(笑)
建築家というのは、時に、自らを全能の神、創造主のように思い込む(もちろん勘違い)ようです。
もちろん建築というのは人間の存在に欠かせないし大きな影響を与えるけれど、建築家が意図した通りに人間が影響されるほど事は単純ではないことは明らかだし、近代以降、多くの失敗をしてきた事は周知だと思います。
つまり、人間の集団から平均的な傾向を抽出して、その傾向に合った、でも無特徴な建築やまちをつくっても、そこで人間は決して生き生きとはしないということ。
創造主の視線というか上から目線では、それはいつまでも超えられないのかと。
そして、その視線には、人間の弱さは写らず、それを救いとろうという意志はない。
この本の首謀者、山本理顕さんは、とても真摯に考え続けて来られていて好きな建築家なのですが、どうも人間や家族というものに対して、考え方がドライ過ぎるように感じます。
『1住居=1家族が致命的な欠陥だった』というのがこの本のスタートポイントで、400人規模の地域社会圏というものを提案することで、状況をブレークスルーできないか、という事を数人の若手建築家が提案する、という本です。
もちろん、家族も、地域社会もある程度壊れかかっているのは否定はできないですが、それをもう役立たずとして切り捨てているようなスタンスはいかがかと思います。僕は住宅の設計をしながら、とても生身な家族や人びとに接させて頂いているし、本当に皆さん良い方ばかりなので、今の状況がそんなに悪いとは思えないのかもしれません。
僕の持論なのでたまに書いていますが、建築は人間の弱さのためにあると信じているのですが、理顕さんや都市計画のような大きな論理というのは、結局強者のために考えられているように思えます。自分たちの弱さを素直に認められない人間(エリートたちはたいていそうでしょうけど)が考えることです。
でも僕は、自分は弱い人間だと自覚していますし、それを出発点に建築を考えないといけないと思っています。
もちろん一方で、創造主の視点で世の中について考え投げかける事は必要なのはもちろんですが。
この本は多面的なので、これ以上書きにくいです(^_^;)
いきなり読んでも多分混乱するでしょう。
まずは理顕さんの住居論でも読んでみてください。興味あればですが。