切腹
- 2010.03.26
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渋いなあ〜。でも今時の映画には無い空気というか、密度というか、上手く言えないけれど、すごいと思います。
いつものように映画評論するつもりではなくて、「切腹」という日本文化について考えさせられました。一方で欧米では、とても奇異な、あり得ない風習として認識されて来たし、今の日本人にとっては既に奇異なものでしかないですよね。
それは何故か??と思いません?
そもそも日本というか東洋(全般は良く知りませんが)的には、個人だのアイデンティティだのという概念は無くて、ラグビーじゃないけどOne for All的な、言ってしまえば働き蜂のような、もっと言えば動物の一細胞のようなものだったんじゃないかと思います。
切腹というのは、決してその本人の尊厳云々ではなくて、武士という立場に対する尊厳、そして武士の身内などに対する尊厳、みたいな、やっぱりfor Allだったんじゃないかと思ったりもします。
まあでも実は誰しもが死ぬのは恐いし、自分が可愛い。そしてこの映画でも、結局は戦の無い平和な時代武士がその志を保ち続ける事ができなかった事によって起きた様々な事が描かれています。
僕ら建築士も含め「士」がつく職業は侍業と言って、「武士は食わねど高楊枝」のような意識をもつべきだと思われています。
だから、本当は、自分が納得できないようなものに屈して仕事をするくらいなら、切腹、と言わないまでもその仕事は辞める、くらいの意識であるべきだと僕は思います。
映画も本もそうですが、その作者なり監督が、自分の人生で得て来たものを賭けて表現しているものだから、それを見て読めば、本当にいろいろな事を考えさせられます。
そしてそうやって考えさせられる事で初めて人間は成長します。
スタッフたちにももっと本を読めと昔から言い続けていますが、なかなかねえ。
運動選手が毎日体を鍛えるように、僕ら頭を使う仕事は、毎日頭を使わないと一流にはなれないはずなのにねえ〜。