京都へ2021
- 2021.04.06
- BLOG
京都へ。いつものお宿や建築のお勉強旅行に。仕事のついでもあり車でしたので山の中にあるMIHO MUSEUMから。
山中の広大な敷地にトンネルや橋でアプローチさせ、展示は古代ギリシアや中国など大変立派なものたち。その成り立ちの怪しい所はさておき、建築的にもそのちょっと成金的なところがある(から今まであまり来ようと思いませんでした)けど、このインスタ時代だからでしょうか、賑わってました。
谷口さんの平成知新館。さすがの完成度ですが上野の法隆寺宝物館と基本的なデザインは同じ感じですね。でもちょうど展示(すごい仏像さんなど)も良くて楽しめました。
谷口さんのある種のワンパターンさは、意図的にされている、と聞いたことがありますが、それによって繊細さを高めてゆけているのだと思うし、石材はその都度みたことのないようなものを探してきているのか、その違いだけでも空間に変化が感じられるような、そんな建築を目指されているように思います。
宿泊は山口隆さん設計のMOGANAへ。僕のチョイスとしては意外なのですが山口さんのミニマルさはその辺のチョロいミニマルとは次元が違うと思っていましたので。
お風呂から見て、向こうに中庭があり、右は反射して洗面が写っているのですが、備品や食事も含め、京都の美意識を現代的に、というコンセプトがしっかり作り込まれてました。また敷地は京都の鰻の寝床の条件の悪い形ですが、それを感じさせないように、閉じつつ、開口部や動線を計算し抜いて設けている、という感じがしました。ただもっと木質で落ち着いて暗い場所に慣れている僕にとっては、気分は上がるけど心身が休めない、という感じで、それを改めて感じられたのも収穫ではありましたw
青木淳さんたち設計の京都市京セラ美術館。結果的に女子たちに大人気?なようですが、青木さんのコンセプトを読んで頂ければ分かるように、青木さんのずっと言われている「はらっぱ」を結局目指したものだし、それは目先の受けの良いものを作ることとは対極的だし、ずっと大変なんだと思う。
階段ですが、床材や手すりや壁の厚さや、が本当になんとも言えなく上手だな、と思いますが、大胆さと繊細さと、見たこともなささと安心感と、それらが共存して、それがはらっぱ的なんですよね。
言い方を変えると、作者の意図とか、それこそ引力とか、その場を支配する「力」のようなものを感じさせないことで、その場にいる人間の気持ちに無駄なな引力を与えず、心や体が自由に動けるようになる、というか。
次は隈さん監修の新風館ですが、雨が降り始めたり、僕もやる気がないwので雑な写真ですが、その先のコメントはお察しくださいませ。でも新しいメガネを見つけてきたので楽しかったです。
さて次が1番の目玉の俵屋旅館さん。いつか、と思いながら素直に良さが感じられる時に、と思っていましたが、やっぱり本当に良かったです。
「和風」って本当に奥が深く、難しいなって思いますし、凝りすぎてもいけないのですが、これは本当に腕を殺した本当の和風だと思いました。上記のはらっぱとつながる質でもあると思います。
お風呂はこじんまりして中庭に面していて、窓は受付で使うような切ったガラスを溝にはめたままの、というもので、今時許される仕様ではないのだけど台風や泥棒やの恐れがないなら何か問題ありますか?という感じです。
庭もて良く手入れされていて、この窓や浴槽や、お部屋のそれぞれもですが、「手入れ」を前提とする作り方だからこそ得られる質なんだと思います。逆にいうと、今の我々はできるだけ手入れをしなくて良いものを求める結果、味気ない、つまらない、価値のないものしか手に入れられないと思うから、まずは自分の家をもっと手入れしなければなって反省しましたw
庭など、今年はちょっと手を入れようと思います。
横内さん設計のところでランチを。京都って重たい歴史の中で時間の流れ方も、お金の流れ方も違ってすごいなあ〜と思いましたし、だからこそ横内さんのような設計ができるんでしょうね。
最後に内藤さんのとらや。京都の老舗のお店ってことで、でも内藤さんってことで、随分悩んで作られたんだと思いますし、その苦労の跡がとても感じられました。
つまりは内藤さんはもっと「素」なものをつくるべき方だなあと。でもこれもまた京都の力だと感じました。
と、何かと盛りだくさんとなって、頭がまだグルグルしてますが、ちょっとずつ咀嚼して次の力にしてゆきたいと思います。
おしまい。