スリランカ/バワ巡り旅-1

  • 2019.03.20
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久々の海外旅行の理由は、Geoffrey Bawa(1919-2003)の建築に触れることで自分の中の何かが変わる気がしたから?5泊毎晩宿を変える、というなかなかハードなツアーに行ってきました。

もう少し言うと、この歳になって、自分が日本人として建築を作っている意味というのは、西欧的合理主義思想ではなく、多神教的自然観にあるという確信が年々強まって来た結果でもあり、一神教的な人間が神に近く、自然は所詮人間が利用する素材だ、という世界が招いた現在の状況にとても疑問を感じる中で、自分がいかに生き、思考し、建築を作るべきかに対する何らかのヒントを感じられるのでは、と思ったからです。

初日はJetwing lagoon。バワの作品でも初期のもので1966年に開業しその後改装はされているにしてもオリジナルな部分がとても感じられつつ。50年以上経っていることについては全く嫌な感じを受けない、というのはすごいことだし好ましいことだと思った。

この100mもあるプールは改修時に大きくされたようだけどこの手作り的な素朴な感じだからこそ、古くなっても嫌な感じにならないのだろう。

水回りはこんな風に外気に晒されていて、常夏の国だからできることだけど、まあそのあっけらかんとした感じがとても心地良かったけど、全体に通づるのは「おおらかさ」なのかな。逆にいうと「カッコつけない」ということだけど、今の世の中「カッコつけ」で溢れていますよね。

次の宿に向かいつつ、タンブッラ石窟寺院へ。本旨ではないので深入りはしませんが、いやすごかった。

次は Heritance Kandalama。内陸部の国立公園内に建てられていることもあり162室もある巨大なホテルなのに姿を消すかのようにデザインされてますが、実際周りは動物だらけ

で、こうやって客室のバルコニーにお猿さんが頻繁にやってくるけど、自然公園だし餌はやらないで、と書いてあります。また象が見えることもあるそうです(実は少し乗って来ましたw)

プールもあり昼間は賑わっていましたしもちろん入りましたが、森の樹々は日本が圧倒的に美しいと思っていましたが、スリランカの樹々もなかなかに美しくて、でも日本の樹々にはない「強さ」を持っていて、バワの建築はそれに勝とうとも何とも考えずに、だから「デザイン」というと少し恣意的なニュアンスを持つとすれば、デザインではない、特にこのホテルはある種土木的なあり方を意図していたのだと思います。

外観は自然に対して沈ませるために黒く塗ってありますが内部は床は黒く、他は白が多かったし、床は彼がよく使うエポキシ系の塗り床でしたが、豪華では決してないけどチープでも決してない、というバランスが全体に貫かれていて、それがこの大自然の中で、本当にちょうど良い感じで存在していて、こういう設計は、一神教的発想ではできず、多神教的なものに違いないと思う(ほらデカいフクロウも飛んでる)けど、彼は上流階級で、イギリスで法律を学んだりした後、AAスクールにも学んでから建築家になったから、むしろ西欧的思考回路を持っていたんだろうけど、僕が思うのは、スリランカのこの自然がそんな思考回路を包み込んでしまったのではないか?ということです。

この階段なんて、確かにモダンで美しい。でも壁に伝うツル植物に吊られて自然にできたもののようにも見えたりするけど、モダンな思考回路とこの大自然の中で彼に葛藤があったか?といえばなかったのでは?と思うのは、また後ほど。