スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー
- 2007.11.22
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少し前に劇場公開された時に見られず、DVDを買ってみてみました。
ドキュメンタリータッチで、ゲーリーを囲むひとたちがゲーリーを、また本人も語り、誤解もあるのかなあ、と思いながら、沢山のことが伝わってきました。
青木淳さんの言い方で言うと、基壇の上に、銀のウロコを増殖させる、というルールで生まれた、というような建築をつくり、それがとても世界的に評価されています。
他にもクネクネした建築をつくる建築家達は沢山いますが、それは、ただ技術や素材の誇示だったり、人間を置き去りにしたコンセプトの実現であったり、という事で、マイナーな存在でしかないのですが、ゲーリーの建築はある種の大衆性も獲得した、と言えるかもしれません。
もっとも有名なグッゲンハイム•ビルバオです。
本人も、「魚」というモチーフであることは認めています(人間も昔は魚だったし!)が、それはただ、「自由」を素直に求めただけのように感じます。だからこそ、大衆にもその良さが伝わるのかもしれません。
確かに自然界に直線などありませんし、直線である事を半ば強いられる建築の世界に嫌気がさすというのは分かります。あのモダニズムは、それ以前の西洋の古典的な重苦しい様式建築たちからの自由を求めて生まれました。そして、今、モダニズムが強制した直線による建築からの自由が求められているのかもしれません。
それが、コンピュータによる解析技術の発達と、あとは、ゲーリーが生涯で培ったアートの感覚(ずっと芸術家との付き合いが深かったようですし)が、ゲーリー建築を生み出したのでしょう。
建築における、直線と曲線の問題。もちろん私も私なりにも考え続けてきました。
確かに直線は安易です。比べて曲線はセンスが問われます。
だから、下手な曲線は最悪です(世の中に最悪な曲線の建築もありますよね)。
また、曲線であるべき建築と、その必要もなく、直線がふさわしい建築もあります。
それを見極められるのもやはりセンスです。
最高の直線の建築、最高の曲線の建築、どちらも見ながら自分のセンスを磨きたいですね。
後者の最高峰としてのゲーリー。いつか一度は見てみたいです。
でも、ゲーリーも、ずいぶん苦労したようです。貧乏生活、離婚、カウンセリングを受けて、あそこにまで。。大きな夢を実現するには、避けて通れないのかなあ。。