カフカ寓話集
- 2014.06.06
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しばらく前に喩え話や寓話って大事だよなって思って見つけた本です。前編面白かったわけではないですが、「ある学会報告」という短篇が面白かった。
アフリカで捕獲された猿が、船に乗せられいつしか上手に芸を覚え人間に囲まれているうちに人間並みの知能を持ってしまって、それで学会報告という話。
彼は、人間は「自由」に幻惑され錯覚していて、「あらゆる方向に開いた大いなる自由」なんてのは空中ブランコで曲芸をやっているようなもので仲間の猿が見たら大笑いするようなものだと。
そしてそうではなくて、彼もただ「出口」があればよく、船上の檻の中では他に出口がなかったから結局芸をしたり人間に取り入ったりしただけであって、結果人間にちやほやされていようが満足も不満もなく、認められたいわけでもなくなく、ただ知識を広めるためにここで報告しているだけなのだと。
「出口」とはまあつまり自分で選べるわけでもないけど進む道があるという事でしょうし、生きていれば「選択」なんてする必要も価値もないけど、人間の自由はその選択を無為に求めているだけだ、という事が言いたいんでしょうね。そしてそれは良くわかります。
次のネタは、この話と何故かつながります。お楽しみ?に