アルベルト ジャコメッティ

  • 2009.09.14
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建築を学ぶなら知っておいた方が良い芸術家の一人だと思いますが、面白そうなDVDだったので見てみました。卒論の頃に読んでいた本などで良く触れられていたのですが、ジャコメッティがどんな人生を生きたのかなどは良く知りませんでした。
サブタイトル「本質を見つめる芸術家 」では分かる人にしか分からないかもしれませんし、僕もそれほど詳しいわけではないけれど、他の芸術家たちは、もっとその生きた時代性や、生きた社会の中で、何かの問題意識や、意義を追求してきたように感じられる一方で、彼は、とても偏執狂的に、人間のそれも頭部を観察し、感じたものを描き、彫刻してきたようです。
芸術というのは、何か見えなかったものを見えるようにするために存在する、というのはたまに聞く表現だけれど、ジャコメッティの芸術には特にそれを感じるように思いますし、その理由は、やはりその偏執狂的なまでの観察と追求なのかもしれません。
僕の卒論は、建築の意味論とか空間論みたいなものだったのですが、それは人間の存在というものを考える事がもちろんベースとなる訳でして、単純に五感で感じられるものを超えた所に「意味」もあり、建築にももちろん意味があり、それはジャコメッティや芸術家が目指した「本質」と基本的には重なるものなんだと思っています。
こう言葉にすると難解に見えるかもしれませんが、すばらしい音楽や映画に触れて感動し、何かを感じるのと同じ事なだけで、もちろん建築にもその使命が本来あるはず(はずと書かないといけないのが悲しい)ですよね。
ジャコメッティの彫刻を見ていると、何かそこに宇宙を感じるというか、表面的な言葉にならない何かがあるように感じます。
そして、建築もそんな風に、言葉で補わなければ伝わらないものでない、深い深い意味が感じられるようなものじゃなきゃいけないなあ〜〜って改めて考えさせられました。
そんな事考えてないと建築ってできないの??って言われそうですが。。
建物はいくらでも出来ますが、建築はできないと思いますよ〜と答えておきます。