悲しき熱帯/レヴィ=ストロース

  • 2024.09.16
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昔読んだと思い込んでいたけどなかったようで。。。
西洋の現代思想に大きな影響を与えた有名な書。ダーウィンが発見したものが西洋人が人間は神に造られた特別な存在で動物は支配すべき下等なものだ、という思い込みを壊したように、西洋人の文化文明が最先端で、有色人種や特にアメリカ大陸なんて一番遅れている、という思い込みを壊すきっかけとなったのが本書というか。
まあどっちにしても西洋人の「思い込み」なだけで八百万の神の我が日本人には関係ない、と言えないこともないけれど知ることで世界が見えてくるのは間違いない。
1930年代にブラジルの部族の中に入り込んで調査をした民俗学者。そしてその数百年前から入り込んだ西洋人が持ち込んだ病気やさまざまな風習?のおかげで彼らは死に、文化もほぼ消えかけてしまい、そのギリギリのところに入り込み共に暮らしともに苦労もし、そんなの誰にでもできることじゃないけど、という感じらしい。
マヤ文明とか、すごく高度だ、と言われつつ人々と共に滅びて、西洋人には理解ができないのもあるのか、評価をされず、アメリカ大陸に人類が入ったのは最近だから劣っているみたいに言われてきたけど、そんなことはなく数万年前には狩猟採集の高い文化ができていたそう。それは日本の縄文文化も同じようで、弥生時代に比べ劣ったものとずっとされてきたけど、現代では色々見直されている。
そういう意味では本書のブラジルの部族の暮らしはおそろらく我らが祖先の縄文人と似ていたのではないか?と興味深かった。日本でも稲作の弥生が支配的となり、世界も同じく。。やはり穀物の農耕によって食糧が蓄えられることにより、人間たちの余力が生まれ、権力が生まれ、国家や文明に繋がってきたのに対し、狩猟採集民は一定以上の人数になれないので国家にはつながらないけど、その代わり代々受け継いできた恐ろしく濃厚な仕来たりや文化を持っている。岡本太郎が目をつけたのもそっちでしたね。

ダーウィンもレヴィ=ストロースも重要なのは、「相対化」したことであって、つまり西洋人が人間や西洋文化を王様のように「絶対化」していたことの目を覚まさせたことで、でもそれは僕たち個人レベルでも「自己中」的な思い込みとして存在していて、それを打破しない限り世界は広く見えてこない。
例えば当時(今も?)西洋人は彼らのことを「「野蛮」だと思っていたがピストル振り翳して、何万年ずっと暮らしてきた彼らを根絶やしにした方がずっと「野蛮」なのであり、それに「謙虚」に気づいて初めてお互いの違いがお互いに前向きに捉えることができるのだ。間違っても、彼らは下等な存在だから我々のやり方を教えてあげなけれあならないのだ、なんて発想をしてはいけなかったのに、それをし続けているのは誰だろう??
身近なことでは嫌われるオジサンはそうだよね。上から。謙虚さのかけらもない。そういう人が「差別」について政策なんて作るから意味がわからなくなっているような。。

ということで、世界という視点でも、個人、という視点でもとても大切なことを改めて考えさせられます。