宇沢弘文/新たなる資本主義の道を求めて
- 2023.07.26
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「自動車の社会的費用」ずっと前に読んで書きましたが、生き様と偉大さがわかりました。雑にまとめれば、有能で評価された経済学者だったけど、学者や政治に都合の良くない正論を吐き続けて正当な評価をされなくなって、、という人生。
「経済学」ってよくわからない世界だけど、これまた雑に、イギリスで始まり、アメリカで発展し、アメリカの政治家のある種都合の良い道具として寄り添って来た学問。その中にいて優秀で有名だったけど居心地が悪くなった宇沢さんは日本に戻り地道に公害に向き合った。「自動車の、、」を書いてそれはとても売れたようだし、先駆けて地球温暖化の問題を取り上げて国際的な評価もされていたそうだけど「過激なマルクス主義者」とアメリカで嘘の記事を書かれ国際的な評価が落ちたまま亡くなってしまう。
社会主義が否定され、資本主義が勝ったと言われているが、つまり計画経済などうまくゆかず、自由競争をさせれば「神の見えざる手」でうまくゆくのだ、という。でも大恐慌が起きて長引いたりして、それに対して政治は何か策を打たなければならない。その時に経済学が頼られる。そんな構図なのかな。
日本の状況を見ても、デフレだ金利だ成長率だ経済ネタが賑わない日はないけど、お偉い経済学者さんの学説などをもとに役人や政治家が方策を練っているわけだけど、「経済」だけを論じているような「市場原理主義的」スタンスで良い経済だけでなく世の中がうまく回るのか?ということで宇沢は「社会的共通資本」という市民の基本的権利としての教育や医療のような概念の重要性を訴えた。
そして今では教育も医療も市場経済の一部のように見做されがちだが、それは大間違いで、そもそも社会的共通資本というベースがあってその上に市場経済が成り立っているだけなのだ、という。資本社会が公害を生み出し、市民の命さえ奪うような時代に向き合ったからそんな思想になったのだろうけど、政治の世界から言えば経済学者は国が儲かる学説を出すべき立場なのだから、宇沢は評価されない。
読みやすくまとまった本なのにまとまりのない文章ですみません。。ご興味あればご一読を。
でも改めて、経済成長第一!という世の中では一市民の幸せなど大切にされないし、地球温暖化対策と言ったって、結局都合の良い学説で、儲けにつながるものしか実施されない。
建築学も偉そうなこと言えないけど、経済学って私たちを幸せにするどころか逆じゃん、、という認識を持って、政治が言う経済政策を冷めた目で見られるようにしないと不幸にされちゃうよ、って事なんだと思う。
そして岸田総理の「新しい資本主義」は中身がないとの定評だけど、せめて、少子化も、さまざまな社会問題も、経済が主因ではないから小手先なバラマキなどするべきではなく、上記のように「社会的共通資本」が経済に先立つものだと認識すべきなのだろう。でもその「バラマキ」を大口を開けて待っている経済界の声の大きな爺さんたちが問題なのではないだろうか??
先日中日新聞には、またS氏たち経済界ジジイが「卯月会」なるものを立ち上げ、中野市長を囲い込もうとしているニュースが出たそうだ(静岡新聞新には出ないのは忖度か)