「好き」な家をつくる味方?

  • 2023.08.10
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今まで多くの設計させて頂きましたが、住宅の設計は奥深く、難しい。
もちろん建築全般も同じだけど、予算と土地や法律など様々な制約の中で、単に使えるだけでなく、使いやすさ、心地よさ、美しさなどの「価値」をしっかりと生み出すことができないなら大きな予算を使って新築なんてしない方が良いと思う。あまり表立って言われないけど、空き家も、ビルの空室も増え続け、安易な新築はその道を辿るだけだと思うから、それを買うか借りるかした方が良いと思う。
では本当に新築する価値って何なのか?
抽象的な言い方になるけど、30年後に、本当に建てて良かった、と思えることじゃないかと思う。
それは、使いやすいことも含め「好き」かどうかが何より大切じゃないかと思うけど、耐震性や断熱性や省エネって必要なことでも「好き」になる対象ではないよね?。そして予算がそんなにないからそんなものは実現できないと思っているとしたら、少なくとも数千万円もの予算をかけるのにそれができないはずはない!と言いたい。
そこで大切なのはその「好き」を本当に共有できるプロと一緒にじっくり時間をかけて考えること。
でも営業さんは本当に自分が売っている家が本気で「好き」なのだろうか?よく聞く話、自分は自社のものを買っていなかったりしないだろうか??そもそも売る、買うって表現が相応しくないけど、営業さんの目をじっと見つめて、心から好きですか?売りたいだけじゃないですか?って聞いてみてほしい。

全ての設計事務所が、とは残念ながら言えないけど、僕らは建築が好きで、自分の「好き」を設計を通じて実現するために好きでこの仕事をしているから、それを共有して頂けるなら、本気でそれを実現する努力をするし、それを求める方にとってはこれ以上の「味方」はいない、はず。ただ僕らも神様じゃないから100%の満足は目指してもなかなか至ることはできないけど。。
設計料高いし、、と思われるかもしれないけど、ちょっと名前の通ったメーカーさんはそれ以上の営業経費を(感じの良い営業さんが足繁く通う給料もコマーシャルも)かけているから、たまに見積金額を聞くと、そんな高いんですか?と思う。その割に住宅展示場に行ったって、無駄に豪華かもしれないけど、そこに「好き」はあるだろうか?ビッグモーター問題のように厳しい「営業ノルマ」が売れる価値のないものを買わされているのではないか?

衣も食も、こだわる人はとそうでもない人はいるのが自然としても、もし今後一生、毎日同じ物しか食べられない、着られない、それを決めろ!と言われたらかなり真剣に悩むしこだわるでしょ?家ってそれと同じはずだから、やっぱり安易に作ってはいけないのだ。でもメーカーさんは施主にそんな真剣に悩まれても対応ができないから安易に決めさせるように仕向けるし、それが社会の主流だからおもちゃが大きくなったような家が並んでしまうのだ。

でも「好き」も時間をかけなければ簡単に育たないから、本当は家を近々建てようと思ってから考え始めるのではなくて、できれば子供のうちから住まいや建築のことを身近に学び、感じる場を、僕ら大人が本当は作ってゆかないといけない。住宅親子教室とかやろうかな〜ご希望あれば。

そして、住宅も建築も複雑で分かりにくいけどまずは「素材」を知り感じることから始めるべきだと思う。コットンもサバも知らないのにどんな服や食べ物が好きかなんて分からないように。
でも悲しいことに、無垢の木材(集成材は違うよ)さえ扱えない家づくりが主流になっちゃってる。
美味しい料理が食べたいのに、加工された練り物しか使えない、そんな世の中に向かいつつあるようだけど、山には立派な杉の木が使いきれないほど育ってるし、(良い部分を選び良くデザインすれば)素晴らしい素材なのに、それを使わずして脱炭素とかSDGsとか言うんじゃない、って思う。

と、家のことを書いたけど、店舗や事務所や施設、工場でさえ「好き」がなければ作っちゃダメではないだろうか?「建てる」ということには大いなる可能性が秘められているのだから。
でも何かと分かりにくい(業界側がそうさせているんだと思う)世界ですから、どんなことでも気軽にご相談ください。