論語と算盤 渋沢栄一

  • 2022.02.22
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大河ドラマは見てませんが、、新一万円札に選ばれたことの方が気になっていたので読んでみました。
確かにとても立派な本ですし読む価値はあると思いますが、新書のようかもしれません。つまり読んで、なるほどな〜と思っても、我が身に引き寄せたら結局何か身に付いたのか??いや、という感になるような気がするし、読まなくても実践できる人はできるしできない人はできない。論語も同じく、読んでも心構えがなければ吸収されないように。
内容の濃い本ですが、1箇所だけ僕なりに心に残ったところを。。
「現代人の多くは、ただ成功とか失敗とかいうことのみを眼中に置いて、それよりももっと大切な天地間の道理を見ていない。彼らは実質を生命とすることができないで、糟粕(酒かす、精神の抜けたものという意味かと)に等しい金銭財宝を主としているのである」
「天地間の道理」、空海とか仏教的なものを読むのが好きなのはこの言葉を感じられるからかもしれない。岡潔の「自分を後に」という言葉が強く残るのも、この道理に至るために必要だと思うからかもしれない。そしてそれは確かに「生命」として感じられるものだと思うし、お金はある生命体のける血液のようなものとして、きれいに強く循環させるべきものであって、ある細胞がそれを独占しようとし出したら体はおかしくなるのと同じように、今の世界はおかしくなっているように思う。
でもまあそれもきれいごと。お金がなければ心身追い詰められるだけの世界。
でもこんな世界は嫌だから、自分なりにどうするべきか考えると、やっぱり岡潔の、人を先に、自分を後に、という心をほんの少しずつでも大きくすることが大切だと思う。
それは何もかも遠慮がちに生きることではなくて、全体のために大切なことに対しては体を張って戦い、でも自分の利益にしようなんて意識を持たず、全体が元気なら自分も生かされるし、本当は良いことではないけど自分の利益になることを続けて、全体の元気がなくなったら結局自分もジリ貧にしかならない、と考えないといけない、と。。
さて、渋沢さんはそういう意味で、「全体」のためになられたから一万円札になるのか?もちろんそうでしょうが、それはあの時代に必要とされた全体、だったように思うし、つまり、今はまた違った「全体」に向かってゆかなければならないのではないかと。つまり、世界がまだ遠く、自国である程度完結できたまだいろんな面で分かりやすい時代ではなく、すでにもう、世界全体が絡み合い、また何が良いんだか分からない時代で、どんな全体、という像を描くべきか、もしくは描き得るか、それを問い直さずして、渋沢さんを礼賛したところで良いことは何もないように思ったり。
でもそんな大きな話にしてしまっても何も解決しないとも思うので、やっぱり一人ひとりが「自分を後に」という意識を高めながら、日々の自分の仕事や生活に向かうしかないし、僕のことで言えば、建築って今この瞬間のためにあるわけではないので、「時間」という次元も含みながら、つまりは次の時代に向けて本当に何を残すべきかという意識で建築を作りたいな、と思います。(と、オチはいつも同じようなものですが)