細川護煕さん

  • 2009.06.15
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あの細川護煕さんは、60で政界を引退し、この本の副題の通り「閑居に生きて」られるようで、なんとも羨ましい生活をされているみたいで、とても気になって買ってしまいました。
羨ましいなあと言ったって、元内閣総理大臣にして、熊本城18代当主なんていう肩書きの方は、羨望の対象にすべきではないんだろうけど、引退後は陶芸を極め、「晴耕雨読」の生活をしている様は本当に羨ましいの言葉に尽きます。
僕ら建築バカの世界では、藤森照信(こちらでは秋野不矩美術館で知られてます)に一夜亭という茶室を作らせた(フランスのシラク大統領を招くため作ったそうですが戦争で来られなかっそうです)のが記憶に新しいところで、でも建築的側面で言うと、なんでこんなもの作ったんだろう??というのが正直な疑問でもありました。
でもでも、作らせた側の細川さんの生き方をこうやって読んでみると、つまりあの茶室に細川さんが居る情景を見てしまうと、なんだかとてもすばらしいものだと思いました。
まあ僕の洞察力の欠如だとも思いますが、でも、つくる側の思いと作らせる側の思いがあって出来るはずの建築も、つくる側寄りのメディアにばかり目が行っていると、本質が捉えられないもんだなあと思ったりもしましたし、たまにこうやって、一般誌から建築を捉える必要があるんだと思ってもいます。
ただ、細川さんのお茶というのは、いわゆる茶道というしきたりから逃れた、とにかく美味しく楽しくお茶を頂ければいいじゃないかというとても自由なもので(だから決して茶道とは呼べない)あるけど、でも茶具などはとてもこだわって、そして陶芸も恐ろしく極めてしまっているようで、また、水墨画などにも深くのめり込んでいて、その姿もリアルに紹介されていました。
また、それらが、とても素直に、ただ、気持ちよく自分が居られ、そして客人を迎える事ができる、というとてもシンプルな事に感じられたのは、僕の中で大きな発見でしたし、僕も目指したいと素直に思わされる所でした。
冷静に考えると、それらの事は、「お殿様」だから、と片付ける事ができますし、実施昔のお殿様たちは文武を極めるのも一つの役割だったのだと思います。
と言って、細川さんの今の生き方の価値を減じるつもりは全くなく、逆に、そういった社会の特権階級が「文化」を育んで来たはずなのに、今の(と言っても経済ベースでしかないけど)特権階級の皆様は、表層だけでなく、どれだけ「文化」に尽力しているのやら???
「文化」になんか尽力していたら、経済の世の中で、特権階級になんか残れないだろって??
そうかも知れないけど、だったらこの国の文化は誰が守るんだ??
誰か答えてください!!
と夜中のひとりごとでした。おやすみなさい〜