竣工写真/渥美フーズさん/木造レストラン

  • 2016.05.16
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p外観北西        

浜松駅南にあるビオあつみさんも出されている渥美フーズさんが、事業の柱の一本として外食に取組まれるということで豊橋市につくる最初のお店の設計をご依頼頂いたのが去年の6月。その後本当に色々大変でしたが何とか完成し、今月末オープンされますのでまた是非ご来店ください!(2021年から「あつみ食堂」に改名されてます)

そもそも社長が私の家に来られた時に気に入って頂き、社長曰く「長谷ワールド?」をつくってくれみたいな始まりもあり、普段住宅をつくりながら考えていることをこの100席ほどもある大きな店舗で実践させて頂いた面はあるのですが、簡単に言えば、テレビなんて、音楽も、そして会話もなくたって気持ち良く過ごせてしまう場所であれば、食事もお酒も美味しいし、精神的にくつろげるし、お店だってそうあるべきだ、という事です。

外観南1

という事で、外周は木造で可能な限りで窓を大きくとり、コンクリートの程よい高さで囲った中を植栽しています。

夕外観南

そう窓を空ける事もないので上部は木製ですがはめ殺しなのでコストも抑えられ、隠れてますが下にアルミ製で通風できる窓があります。

夕窓から

窓。下にちらっと見えますね。歩道を歩くとこんな感じで店内が見えますが、入りたくなりますよね?

ところで、変わったペンダント照明。色んな経緯があって竣工間近にガラス工房さんに無理を言ってつくってもらいましたが、ガラスの透明感と色ガラスに光が透過した時の奥行き感が僕は好きなのでそんなコンセプトでものとしては良い感じにできたとは思っていますが、卓上や周りへの光の出かたがなかなか思うようにいかず昨日も写真を撮りながら色々調整をしてきてだいぶ良くなったとは思いますが、単なる演出照明ではなく主照明としてつくるのは簡単ではないですね。でもせっかくの苦労をまた生かせる機会があれば取組みたいと思っています。

玄関2

入口を入ると下駄箱があり、つまり脱いで来店頂きます。そして一部2階があり研修などに使われる予定です。

内装材はほぼ杉材ですので床は柔らかく傷もつき易いですがそれも経年変化として優しくおおらかに包んでくれるようなお店だと思います。

客室5

入って右には小上がりの座敷で4室に間仕切ったりつなげたり簡単にできるような建具とテーブルを考えました。

また椅子はなんとウェグナーのPP58がどっさりと使われていますがとても長持ちしますので長い目で見れば決して高くないはずです。

夕客室1

こんな感じで外の庭と窓に面してテーブルがゆったりと並びます。5年、10年と経つと樹が大きくなってもっともっと良い感じになります。

夕客室2

正方形平面の中心に中庭がありそれを囲んでカウンターがあります。がその奥が厨房で、中庭を通して厨房と客席がチラチラ見えるのと、昼間は中庭からの光が入るので照明がなくても十分な明るさがありますので(撮影上は点灯してますが)節電にもなりますし、何より自然光で過ごせるというのは大事な事だと思います。

夕客室6

夜になるとこんな感じ。中庭の樹が浮き上がって見えます。目のやり場、というのは大切だと思いますけど樹って僕は見ていて飽きにくいと思っているので何となく落着かなくて早食いして出てしまう、とはならずゆっくりくつろいで味わって頂けるんじゃないかな、と思います。

先日の永田木材さんのところでも書きましたが、無垢の良い材で良い空間をつくるという可能性をもっと広げたいと思っていた中で、これだけ大きなお店が来んな風に作らせて頂けた、というのは大きな収穫でしたし、また自分で言うのもなんですが、これだけ上質なお店が出来ましたし、渥美フーズさんの食材は最高ですし、かと言って決して単価の高いお店ではないので、必ず多くのお客さんが喜んで、何度も、いつまでも来て頂けると信じていますし、30年後にも続いているはずですから、今お子さんとして連れて来られた方が、その頃、自分のお子さんを連れてきて、ここは子供の頃に来たお店なんだよ、なんて風に記憶をつなぐ場所になってくれたら本当に嬉しいな、と思います。

お店のHP