日本の深層/梅原猛

  • 2013.03.24
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学術的なレベルの事は詳しくないのですが、恐らく、縄文文化は弥生文化に追い払われた過去の、劣ったもの、というのが一般的認識であり、学者界でそう主張されているから一般人もそう思わされているようですが、それに一石を、それも大きな一石を投じている書じゃないかと思います。
例えば、鬼とか、山岳信仰とか今でも日本人の精神の大きなところを形づくっているものが、実は縄文、それは実は蝦夷、アイヌの文化ではないか?というのが要点で、梅原さん個人の推測じゃない?と感じられる部分もありますが、概ねで僕は納得しましたし、それを改めて自覚するという事は日本人にとってとても大切で、必要なことだと思わされました。
僕なりのまとめとしては、例えば未開の部族って多分例外無く自然や動物に対する大きな畏怖を持ち、その族内でとても強い道徳概念、つまりこれは絶対にやってはいけない、というようなものを持っていると思いますが、一方で違う国や部族を打ち負かしたりしてゆくような状況の時、つまり戦国時代のような時には、騙してナンボというか、自らの部族の持っていた信念を頑なに守っていたら征服されてしまうところがあるから、世界中で侵略が進む程に、未開の部族が持っていた上記のようなものが失われる一方でしかないのではないかと。そして、それが縄文と弥生文化にも当てはまり、後で九州辺りから入って来た、弥生人、つまり侵略者ですから騙してナンボの人種、そして自分たちの世界を頑なに守るバカ正直な縄文人を追い出してしまう。
そこまではまあ確かに近いとして、でも梅原さんは弥生人が勝ったかもしれないけれど、日本人の精神には縄文人、そしてそれは実はアイヌ人の精神が流れていると。具体的には東北の宮沢賢治や演歌歌手など、日本人の心の奥底に触れるのは、そのアイヌから続く精神ではないかと言う訳です。
日本は島国だし、鎖国していたときもあったり、未開の民族の閉鎖性みたいなものを温存しやすい状況にあったとも言えるし、日本人独特の精神性(鬼や獅子舞といった独自のものを未だに持っている)は決して外来の弥生人がもたらしたものであるはずが無い、というのは確かな気がします。
東北が日本の精神のルーツだということ、でも東北人はバカ正直で騙されやすいということ。何だか近代以降は騙し合いの世界になってしまっているように思いますが、そのバカ正直さこそが大切だという世界にまた戻らざるを得ないときが来るんじゃないかと思います。
ということで、近々東北に行こうかな〜なんて思っています。