日本の歴史

  • 2011.06.21
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僕は歴史は苦手でした。意味のあるはずの歴史を無意味な記号のように頭に押し込む作業が気持ち悪く、何か根っこを理解すれば応用できる数学や物理が好きだったかな。という訳で未だに歴史好きでないのは教育が悪い!と思っている方も多い事でしょう。という方なら読んで面白いかと。
全てそうですが、歴史は殊更「解釈」次第で様々に変わってしまうとこころもあり、だからこそ教科書では無味無臭な羅列になってしまうのも分からないでもないですし、敗戦後の色々で宗教的な事は書いたり言ったりできなかったんでしょうけれど、そろそろ仕切り直して欲しいものだとも思います。
自分達のルーツも知らず、戦争をした経緯も背景もろくに知らず、そんなだからろくに外交もできないですからね。
本書では、井沢さんの解釈し過ぎももちろんあるだろうにせよ、「通史」としてつまり意味のある連続的な物語として、日本の歴史が書かれていて、もちろんそれが私たちには必要だという事です。
聖徳太子の頃から「和」を重んじ、今だに談合、根回しの、責任の所在を明らかにしない国である。
皇室のルーツは大陸から鉄器を持ってやってきた、オオクニヌシがアマテラスに国を譲ったという神話が示している。
中世に遷都が繰り返されたのは怨霊を恐れたから。
源氏物語も平家物語も怨霊を鎮めるために時の権力者がつくらせた。
悪い予想を口にしてはいけないという言霊信仰が太平洋戦争へ走らせた。 など。
まえがきにもありましたが、外国語を知って初めて自国語がどんなものかが分かるように、歴史でも何でも、自分が知っているものと全く違った立場から自分たちを眺める事によって初めて自分の立ち位置がわかりますし、なすべき事も見えてきます。
この本を取り上げたのも、建築の世界も同じようなものだからです。つまり井の中の蛙。
歴史を知らず、未来を語らずして、現在を生きれば良いと思っている。
その狭い自分の足場を守る事が一番大切。
いくら本や雑誌を読んで、ひとがつくったものを見たり、話を聞いたって、それはバラバラな部分でしかなくて、全体としての建築なんて生み出せません。
自戒をこめて。