長谷守保 建築計画

日本の家/中川武さん


なかなか良い本でした。
日本の住宅が持っていた様々な要素(縁側や襖、畳、などなど)の歴史からそれらが持っていた意味の深い部分を読み解き、今はほとんど失われかけているそれらの意味を再発見させるような内容でした。
単なる古めかしい遺物であればもう失われてしまっていても良いはずなのに、少ないながらも根強く残っているという事は、恐らく日本人の本質的な欲求を満たすものだからだと思います。
それを乱暴にまとめてしまうと「深み」と言えるかもしれません。
木材や瓦、三和土、漆などの素材の深み。
明かり障子や格子を抜ける光や陰の深み。
仏壇や地鎮祭のような存在が示す、死や神というものへの気持ちの深み。
その他日本の建築が持っていた空間の奥行きという深みもありました。
今の時代は全てがコンビニのように蛍光灯で隅々まで照らされたような時代であり、そんな「深み」は感じられない時代ですが、でもやっぱり、人間という存在には、そんな深みを感じられる事で心穏やかに生きてゆけるものだと感じます。
という僕も、5年も前にはこんな事は余り感じていなかったように思うので、年を取ったのかなあとも思います(^_^;) が、とても大切な事だと思っています。
もちろん、だからと言って、無批判に昔からあるものを受け入れるのではなく、私たちの祖先たちが、何を感じ何を考えてそれらのものをつくり、守り続けてきたのかを理解することと、今の自分の感性でそれらのものと向かい合う事で初めて、今私たちが何をすべきかが見えてくるんだと思います。
なかなか答えなんて見つかりませんが、でも、夜こんな事を考え、また次の日に良い仕事を目指して頑張るという毎日が今はとても楽しく感じられます。

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On 4月 22, 2009
by hase
in けんちくーよむ

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