新建築9月

  • 2011.09.08
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今月号密度は高いですね。
まずは日建設計(山梨さん)のソニーシティ大崎は、4万坪近いっつーことは40坪弱の住宅1000軒分!と言ったら少しピンとくるかな。で「大型建築の新たな可能性」というエクスキューズが記されているのですが、要旨はこの環境の時代に「樹木を植えるように」大型建築をつくる、バイオスキンという素焼に水を通して気化熱によってヒートアイランド現象を抑える、というお話。
また研究開発の拠点として膨大なサンプルなどのモノとヒトが行き交う場としてこの巨大なビルは存在意義を示し、震災時の不安もバルコニーの設置などで随分安心になっているという事、らしい。
いやいや大型建築を前提とするなら模範解答じゃないですか!さすが日建設計!
とそれはさておき、僕個人はその「前提」の対極を自分なりに実践してきたつもりで、毎日木造のこじんまりして風が吹抜け緑がすぐそこにある場所で仕事をしていますが、もちろん大企業じゃないから出来るんだけど、どう考えたってこっちの方が人間らしい。仕事は仕事なんだから人間らしさなんて不要じゃん、と言われるなら別ですが、上記のエクスキューズは決してそこには触れていない、いや触れられない。あくまで総体としての効率の事しか扱えないですよね、こんなでかい塊では。
もちろんそんな塊も必要だと思いますし、その上では立派な設計だと思います。でもだからと言って、その辺りに立ち並ぶ段ボール箱みたいな事務所ビルはせめて少しくらいは人間性を取り戻すか、技術を駆使して箱であるエクスキューズをするかして欲しいわけです。
ま、高層マンションも同じ事が言えるわけですが。
そこで三分一さんの作品も続けて載っているのが面白い所なのですが、とても敬意を評すべき方なのですが、「建築が地球のディテール」という思想が、この2作品ではある種の形式化に負けてしまっているように、ちょっと残念に感じましたし、ここまで無理してつくらなくてももっと素直につくった方が「地球のディテール」になるんじゃないかなあと。
そして伊東さんのスチールハット、シルバーハット。後者は是非一度見たいですが、前者は写真で見る限り????ん〜〜。。島々を背景とした自然から屹立した姿を示すために幾何学によってつくる方がよいと、、
すぐに行くのは好きではないので、少なくとも数年後以降にでも行ってみたいと思います。
そして建設中の槇さんのWTCタワー4。もう10年なんですね。
その後高層建築について様々な言説があったように思いますが、何かそれで変わったのか??
そして今回の震災も同様で、10年後、本質的に何かが良くなったという契機になりうるのか??
全ては「ゆく河の流れ」と思えばそれきりだけど、せめて「意志」という錨を河底に沈めておきたいものです。