北関東へ2022

  • 2022.06.05
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今回の研修?旅行は栃木〜千葉〜ついでの東京で、やっぱり興味の対象は「木」になっちゃっています。
途中でレンタカーを借りて移動中まず古河総合公園で内藤廣さん。相変わらずの浮ついていなさが素晴らしいですね。あと妹島さんのもありましたが経年と、やっぱり公共で作るとそれが欲しい方が経営するわけじゃないので「愛」がないというか、やっぱり悲しい感じになってしまいますね。

次はマウントフジさんの道の駅ましこ。雑誌で見た写真では良くも悪くも大胆すぎる強さを感じていましたが実際は程よく、こうやって雑多に使われていてもそれを許容してくれる感じはやはり木造だからだと思いますし、きっと永く愛される施設になるんだろうと思います。

次は中村拓志さんの録ミュージアムでランチ。実は県内の設計事務所をコンペで選んだけど納得ゆかず?中村さんに依頼して、、、この巨木たちもあったのではなく移植したそうで、それが驚きでした。枯れるかも知れず、恐ろしい金額がかかったと思われるけど、それがマストであったと感じさせる、そしてとても魅力的な建築でした。

エントランスはこんな風に小さく低く、これは躙口だな、と思いました。つまりここを通ることで一度リセットされて、新鮮な気持ちで内部とそこから見える巨木を感じられるように。

そして1泊目は坂茂さんのアートビオトープですが、すごく前の講演会の話を聞いて、つまりは専門家なら当たり前のように囚われる方法から自由に、つまり素人的な発想で建築を作る人なのだと思ったのがその後もやっぱりそうだなと思うんだけど、ここも、まあ高級な宿なのですが高級に見えないというか、そんなことを目指していないというか、ここもそんな感じでした。例えばこの格子状の壁もそうなんだけど、でも夜は行灯状に光って、朝はこの裏がベッドで、木の格子に反射された光で目を覚ます、というようにきちんと装置としての意味が考えられていて、変な高級感より、本当に大切なのは何なのか?ということだと思います。


坂さんと言えば、「全開」ですが、このお風呂も2辺の建具が動いてこんな感じになります。ここまでやらなくても、というのもありますが、やっぱり気持ち良かったです。
あと、坂さんの木造は基本集成材で、ここはさらに野地板も合板だったりして、それらもやっぱり高級感とか出さない方がその環境を感じられるだろ、という事なのかも知れないけど、やっぱりそこは(いつも書いているように)木造としてはちょっと残念に思います。

そして石上純也さんの水庭へ。詳しくはご興味あればお調べいただくとして、まあ良くこんなもの作った、作らせた、という代物。
でもどうやら昔あった二期倶楽部が色々あって星野リゾートに取られてしまって(近くに営業してましたがやっぱり軽薄になってしまっているのでパス)違う形での再生をこのアートビオトープで計られているようで、ぜひ頑張って欲しいと思いました。

次の移動中に、永山祐子さんの住宅兼ケーキ屋さん。この写真では全然分かりませんが、左端から上の住宅に上がり、下の店舗の上の間はガラス屋根になっていて、店舗が住まいと紛れずに「異世界」をしっかり作っていて、そこはさすが上手だなと思いました。

日建設計のホキ美術館へ。思い切りの良いプランとディテールの確かさで、まあ流石ですね笑

ZOZOは外をぐるりとしただけだけど、閑静な?住宅街に、大胆なんだけど優しく開かれた建築であるためにこの木の細かなディテールがとても効いていました。

またまた中村さんで、週末住宅として作られたけど1棟貸しで泊まれるので行きましたが、房総半島から東京湾が気持ちよく見える場所で、ガラス屋根に竹を透かし、海の家のようなある種仮設的な軽さにすることで、日差しや日暮れや夜空や海や、より親しく感じられるようにデザインされています。その分、台風などの時は多分怖いくらいかも知れないけど、元々週末住宅として設計されているのだからそれで良いのでしょう。

こんな感じで、リビングスペースがL型に海に開かれ左側に離れとして寝室があるので、夜トイレにゆくときにはここを通って行くしかない、とか、不便があるけど、でも離れにしてここを抜いた事は正しいのだと思います。

レンタカーを羽田で乗り捨て、東京へ。また坂さん設計のフレンチレストランでランチ。
3階建てだけど木造で、それも構造体が出しゃばらず、その構造計画や紙管のインテリアで、優しく軽やかな雰囲気。

途中で自転車で通りかかった近所の方が何組か入店してきて、この辺りもとても良い住宅街で、こんな風にママチャリでフラっと入れる、入りたくなるお店があるってなかなか理想的だなと思いました。
で、繰り返すけど、やっぱり無駄な高級感がない笑

内藤廣さんの紀尾井清堂。解説しないと意味不明なのはお調べいただくとして、どう使うかは後で考える、というこれまた良くも作った、作らせた、という建築。
だから、普通の、用途ありきの建築の作り方が、逆にどれだけその用途(や経済的考慮)に引き摺られているかを改めて感じることができる、ので、建築関係者は是非。

2階からは回廊と階段だけあって上から光が降ってくる。だけ?なのかどうかは訪れる人次第。

また内藤さんで赤坂のとらや。まあ立派な建物だったし、京都などもそうでしたが、目先の収益とかに追われないから可能なのか、そしてそれが文化と呼ぶべきなのか。
鉄骨の細い骨はあまり好きじゃないなあと思いつつ、でも都市部で無垢の木構造で作れない中で、これだけ繊細な木質空間を実現するために、と考えればさすがというところ。

最後に、建て替えられたけどロビーは、谷口吉郎の名作として、詳細な調査の上再現されたということで見たいと思っていたのですが、やっぱり建て替え前と違う。。軽い。。なぜだ??
まあそういうものなのでしょうけど、また改めて考えてみようかな。

ということで、盛り盛りになってしまったし、疲れましたが、満足度の高い、もっと良い設計を目指して行かなければ、と思える旅となりましたので、また明日から頑張ります。