スリングブレイド

  • 2012.11.10
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スリングブレイド、とは鋭利なカイザーナイフの事で、主人公カールは、子供の時母親と不倫相手をそれで八つ裂きにしてしまい、25年精神病院にいてから退院?する。そして父親のいない少年フランクと心の交流を深めるが、母と交際している乱暴な男がフランクを傷付けてしまうのではと、その男も殺してしまいまた病院へ戻る。
という話なんですが、作者の意図は知らないけれど、僕は「人を殺してはいけないのか?」という事を改めて考えさせる映画だと思いました。
確かに社会全体としては殺人を禁止すべきだし、それ以前に僕らの心の中には(動物に対しても感じるとは思いますが)殺してはいけないと思う性根があると思います。
以前読んだ本で宮台真司さんは、人間は周りの他人たちに承認されて尊厳を得る事で生きてゆく事ができるので他人を殺すというのはそんな自分の土台ともなるものを破壊する事にもなるから、だから本能的に殺人はできない、と書いていましたしそれは確かにその通りなんだと思います。
ただそれは一般論であって、今回のように、大切な、守るべき何かが有る場合にはその誰かを殺す事でそれを守る事ができるのであれば、本能が殺す事を命ずるだろうし、恐らく戦争時はそれを集団的に洗脳されてきたから神風特攻隊(皆が望んだわけではないけど)みたいになれたのかなと思います。
もちろんだからと言ってカールは許されるべきだという意味ではなく、本能に依った行動であったのであれば、単なる狡猾な殺人とは全く性質が違うものだと考えるべきだろうと思ったまでです。
そう言う意味で、カールは最初も、今回も精神病院に入っていたし、「罪」の色は一切と言っていい程描かれていなかったのは、作者も同じように感じていたからかもしれません。