ウィトルーウィウス建築書

  • 2009.04.08
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建築を学んだ人なら知っていながら、なかなか読んだ人は少ないとは思います。
でも、とにかく「すごい」と思います。
紀元前!20年か30年とかに書かれた書でありながら、今にこれだけ残されているというだけでなく、内容として、今の知識や技術から読めば当たり前のような事が、2000年も前から本質的に変わっていない!というところに気づけば、この本の偉大な価値が分かると思います。
10つの書に分けて、都市の構成や、材料について、神殿や住居のつくり方やそして日時計や機械類の事について記されていますが、建築という言葉は様々な技術を統合する存在であった事が伺えます。ただ、それらの知識は恐らくウィトルィウィウスの考えだしたものはほとんどなく、その時代までに蓄積された知識を体系的にまとめたようで、彼自身もそのようなものが今までなかったからこそ価値がある、というような事も書いています。
建築は、タクシス、ディアテシス、オイコノミアの3つによって成り立ち、タクシスは「全体的比例をシュムメトリアに即して整えること」、ディアテシスは「組合せによって作品の質を立派につくりあげること、建物の肢体そのものより生じる工合よき一致(シュムメトリア)」、オイコノミアは「材料や場所を工合良く配分することであり、工事の際の費用を計算によって細かく割り振ること」だと書かれています。
本質って変わらないものだなと、他の様々な部分でも感じましたし、今の時代に書かれた書物で、2000年後に、そのように評されるようなものがあるだろうかと考えてしまいました。もちろん建築も同じく、2000年後には、恐らく今の建築は無く、2000年前の建築が逆に残っているんだろうな〜と。
国交省が「200年住宅」とかいう名称を取り下げようとしていますが、そんな意志のない時代のものは何も永くは残らないでしょうね〜。
僕も生きている間に、今の時代の建築書でも書こうかなと、ちょっと真剣に考えました。