12人の怒れる男

  • 2008.01.21
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だいぶ前に見た気がするのですが、改めて見て、いや〜面白かった(^o^)
まあ映画的な専門的な側面は置いておいて、やたら派手にお金がかかっているぞ!というような映画や、恋愛やコメディや、というものではなく、こんなシンプルで、一つの部屋の中での出来事なのに、それでもこんなドラマチックにスリリングに展開するのは、すごいですね。
まあ、その辺は見る人に依るから、あまり褒めてもいけないんだろうけど、でも、12人の陪審員のうち11人までが最初にかけていた「色眼鏡」が、残りの一人の主人公が持った素直な疑問(色の付いていない眼鏡)によって、一人ずつ色眼鏡を外してゆく。そして最後には12人が色眼鏡を外す。
人間である限り、「色眼鏡ー偏見」とは無縁ではいられません。
ただ通常はそれは他人に迷惑をかけることもそうなく、ある種の個性の範囲で終わってしまいます。
でも、陪審員制度では、それは許されてはいけないのでしょうね。(詳しくないのですが)
また、ストーリーの中では、最後まで色眼鏡を捨てられない男と、最初からとても論理的に議論をしてすぐに自分の色眼鏡に気づく男と、その対比が大変面白く、ただ、その最後まで色眼鏡を捨てられなかった男のその訳は、息子との確執にあった、という幕引きで、ある面で、誰もが持ち得る人間の弱さが描き出されて終わります。
誰にでも弱さがあり、偏見があります。
でも、他人の言葉を一度飲み込んでみて、素直に自分の偏見を偏見だと思えるという事が何よりも大切ですね。
そして、集団の中で最良の判断を生み出そうとする時には、それが何よりも大切ですし、そのためにいかにうまく「議論」できるか、という日本人にはとても苦手な事が大切ですね。
実は主人公は建築士(と訳されていましたが[ I’m an architect」=建築家と訳すべきか?)でして、それも興味を惹かれたところでした。
日本の建築士の中には、工事の監督や建材メーカーや、ハウスメーカーの営業や、学者や、、と様々な役割の人間がいますが、「architect」は設計を専業とする人間に用いられる英語のはずで、建築士とは違うものなんですよね。
書くと長〜〜くなってしまいますが、日本の建築士の成り立ちからそうなってしまったのです。
新しい映画ももちろん楽しいですが、たまには名作と言われる映画も見てみると、名作と言われるだけに、展開の面白さ以上に、もっと深いメッセージを持っているものですね。