隈研吾さん/石の美術館/馬頭美術館

  • 2007.12.24
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もう1年少し前になりますが、仙台の建築の同志の阿部ちゃん(元気かなあ。。)と宇都宮に行く用事のついでに見に行きました。
隈研吾さんはとても活躍されてはいますし、とても『器用に』『上手に』建築をつくる方で新しいことをどんどん実現されていいますが、正直、その器用さがどうも「軽薄」に感じてしまい、「テクニカル」な印象をもっていました。ただ、この2件の内、馬頭広重美術館については、とても環境とも合い、プログラムも良く、生き生きと感じられ好きな建築ではありました。
石の美術館は、石をルーバー状に積んだりして、光を通したり、杉のルーバーで屋根と壁、天井を全て覆ってしまったり。。と言葉で言うと簡単ですが、構造的、法規的に、とても難しいハードルが沢山あることは、建築に携わるものであればわかるはずです。


その後もそんな印象のままだったのですが、とある記事の中でこんなくだりがありました。
『20世紀は鉄とガラスとコンクリートという同じ素材で、この工期ならこの規模、このグレードならこの単価、といった条件の下、建築がつくられてきました。しかし、そうしたやり方を続けていると、仕事をしている本人が退屈してしまう。これは建築に携わる人間にとって大変大きな問題です。」そして、隈さんは『質のいい仕事を楽しく続けるやり方』を見つけてきた、と言われていました。
建築というのは、本来、説明をしなくても感じられなければいけないとも思うのですが、一方では、次の社会につながるために、様々な事を考えて、試みて、伝えてゆかなければいけません。
その後者の意味において、今まで隈さんがつくって来たものが、上記の話で少し分かったように思いました。
職人さんたちが、現場監督さんたちが、そして我々設計者たちが、「質のいい仕事を楽しく続ける」というのは根本的に一番大切な事だとは、私もずっと感じてきました。
もちろんその方法論はいろいろあり、何も目新しい事をしなくてもできますが、その意識は大切にしたいと思います。