長谷守保 建築計画

進化とはなにか/今西錦司

1976年の本で、僕が買ったのも20年程前で、読み返してみたくなりまして。
その後も進化論も変わって来ているんだろうから古い話なのかもしれませんが、正統派のダーウィン進化論に異を唱えた数少ない方だったようです。
分かりやすく言うと、キリンの首が長くなった事について。

ダーウィン理論だと、元は馬くらいの首だったものから突然変異で様々な形のものが生まれ、つまりは中には短くなったり、太くなったり、下に垂れたり上に反ったり右に曲がったり、その中で高いところに食料が確保しやすい環境だったから首の長いものだけが生き残り、それらが交配する中で首の長い種として落ち着いたという。

それに対して今西理論は、実際そんな事をしていたらバクチみたいなもので、種として途絶えかねないし、種の保存という観点ではそうあってはならないし、高い所に食料がある環境だったら、種全体として首の長くなる方向に変異してきたはずだ、と乱暴に言うとそんな感じですが、それは種がある意味「意志」を持っていたとも言えるもので、科学的進化論のダーウィン派は決して受入れないものだと言えますし、今は良く知りませんが当時は圧倒的にダーウィン派で、今西さんも嘆いていたようですが、学者というのは今も変わりませんが大きな強い理論なりがあるとそれに楯つこうとは決してしない中で今西さんは孤軍奮闘していた、という感じだったようです。

ただ、20年前に読んだ時から僕は今西さんが正しいと何となく感じていて、最近も相変わらず生物好きで色々読んで来たりした結果、さらに意を強くした感じなので改めて読んだわけです。

例えば先日BSで、花びらそっくりのカマキリがでていて、本当にその環境にある花びらそっくりなのですが、そんなものが無方向の突然変異からたどり着けるものでしょうか?それはその花に寄ってくる虫を見てそのカマキリの種としてその花に擬態しよう、と意志を持たなければあり得ないでしょう。

また何故シーラカンスはほぼ変わらず数億年?もいるのか?ダーウィン理論だったら定期的に突然変異をして同じ形をとどめないはずですが、環境が余りにも変わらない(深海だから)ので変わる必要というか意志を持たなかったと言えると思います。

種が意志を持つ訳ないだろ!というのが反論でしょうけれど、動物の群れは雨期や乾期や食料となるものの変化で群れで移動するわけですがそれは環境に応じて群れとしてある種の意志を持って移動しているわけですから、それも否定するとなると、餌がなくなったら色んな方向に移動してある群れは飢え死に、ある群れはたまたま餌のある所にたどり着く、という事になってしまうのと同じだと思います。

話は飛びますが、文化や建築などもある種の進化をして来ている訳ですが、それも環境(素材の発展や工業化なども含めた)の変化に適応させて来ていると言えますが、動物は選択を誤れば絶えるのみですが文化や建築は方向を誤っただけで人間が絶えるわけでもないので、良い方向に変わるという意味での「進化」しているか?と言えば、今の文化や建築はある意味退化をしている面が強いですよね。動物の世界は生きるか死ぬかという厳しい基準で判断される訳ですが、今の文化は経済に負けてしまっているからもう形骸化している?のか。。古代や中世は様々な文化が覇権を競っていたようなところがあるからだから文化としては豊かだったのでしょうね。

人間だって動物なんだから、人間がつくった不完全なもの(学問や経済や宗教)ではなくある意味完全と言える動物を良く知る方が、何か確かな事が得られそうな気がしています。

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On 2月 16, 2014
by hase
in みるーよむーかんがえる

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