設計入札について

  • 2013.11.07
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今ホットな話題ではありませんが^^;
ご存知?の通り公共事業の設計をしたい時は「入札指名願」なるものを自治体などに出しておくと、事務所の実績や建築士数に応じたランクで、入札の指名がたまにかかり、基本的に一番安く入札をしたところが仕事を得るというシステムなのですが、どう考えても良いものをつくるためのシステムではないですが、まあ戦後から人口増、高度成長時代と、質より量を確保しなければならない時代にはまあやむを得なかったやり方が未だに主流のままで、それにぶら下がる設計者、施工者が沢山いるので変えろ!という声が大きくならない、というのが現状でしょう。
もちろん質の時代に入っている中で、国交省が5年程前に出した資料らしいです。

まあ当然まっとうな事を分かり易くまとめてくれてますし、国レベルや意識の高い自治体はある程度その後取組んで来ていますが、問題は、例えば「浜松市」のような自治体がほとんど取組んでいないのです!
こんな事設計やってる人間が書くと、仕事欲しいの?とか僻みに受け取られかねないのだけど、僕が敢えてここで書いている理由は、恐らくこの浜松では、今後いくら良い方に向かっても、10年単位で少し良くなる程度だし、僕は入札指名願い出してないし今後も出す気はないけれど、次の世代の設計者たちが少しでも良いものを設計できる環境にを育む事が先輩世代が為すべき事だと思うからです。
もうひとつ、同じ国交省の資料から

と、本当にその通りだ、という事を国が書いている割に、どうも国民や地方へほとんどその意識が伝わっていないように思います。そして、それは公共事業に限らず、自分の家や会社を建てる時に意識としても、設計料が高くなるくらいならその辺のハウスメーカーか安くやってくれると営業に来ている会社でいいよ、という感覚と同じ根っこなのだと思いますので、更に根も広く深い問題です。
日本人は、昔から「お上」には従うべきだという気質で、今だにひきずっているからこそ、公共事業の入札制度を無くす(もしくは最低限まで減らす)という事をまず実現しないと個人住宅レベルまで意識が広がりにくいと思いますし、もし広がりさえすれば、今後いくら人口や工事が減った(つまり施工業者は減らなきゃ無理)としても、設計料が倍取れる(もちろんその分1件にかける時間が増える)ようになれば、設計事務所は決して減る必要はなくなる、という事ですし、僕はそれを切に望んでいます。またもちろん、質の高い建築が増える事で、環境も豊かになるし、建築の寿命が延びれば次世代への負担も減る。
ということで、<次世代のために 設計入札をなくす会> みたいな取組みが出来ればいいと思っていますが、もちろん設計入札制度が始まった時から諸先輩がたが取組んで来られ(結局ほとんど無力だった)のは知っていますが、だからこそ、せめて「次世代」までに、という長い目標を立てた方が良いと思います。
具体的な取組みをするとすると、国からの方針は出来ているんだから、あとは自分の住む自治体に、市民たちと一緒に訴えて、少しずつでも実現を促すという事かなあ。
例の浜松城公園の構想の一部でもあった、小中一貫校の整備は、立地や、変形敷地での工事でもあり、新たな建築の形である、という意味でも重要であるはずなのに、あっさり旧来の入札で進めようとしてしまっているらしいです。
まあその辺りの情報をもっと開示させる事から始めないとダメですね。
まあ僕は市にどれだけ嫌われて、仕事なんて頂かなくても構わないから、死ぬまでに入札が減ってちょっとはマシなものが出来るようになった、と思いたいですね。