長谷守保 建築計画

竣工写真/水平垂木の平屋

なんとか平成のうちにお引き渡しして昨日オープンハウスと撮影を行い、大変でしたがこれでゆっくりと新しい時代を迎えられます。

しばらくすれば手前の斜面などの芝や植栽の緑が広がって、より良い感じになると思いますが、今考えついた言い方だと、この家は「自然を生かす家」を目指したとも言えます。まずは結構な斜面地だったのですがそれを生かして南や北の庭や眺めを存分に味わうことができるのでは、ということもありこの土地をお勧めしたところから始まりますが、めだつ立地でもあり、あえて癖のない外観というかさりげない佇まいの建物にすることで内部から見える庭もより際立つのでは、という発想で建物を考えました。

それもあって側面の目立つ壁は黒くして沈めた、という理由があります。

南の道路から。高低差があるので、道路レベルからの視線はあまり気にならないようになっています。そして東西の黒い壁と屋根が、南北の庭に対してトンネル状になっています。いつもの板塀はちょっと目立っていますが、そのうち落ち着いた色になって沈んでくれるかと思います。

南北の庭に対してこのように開いてますが、今回はこだわって全て木製窓にしているのでさらに気持ちよく開かれています。

そして何度か書きましたが、垂木が水平になっているので、見方によっては味気ないデザインに見えるかと思いますが、最初に書いたように建物をさりげない佇まいにするため、これを狙った、ということでもありますし、これから10年、20年と経って、この住まいが大きな緑に覆われるようになれば、そのことがさらに感じられるようになると思ってます。

反対のアングルから。北の窓にレンジフードがかぶさって来るのが許せなかったので、壁から吸い込むような特殊なものを設計しました。

また床材は前回気に入ってしまったので、また無理を言って杉の赤身の柾目材を限られた予算内で作ってもらいましたが、思った以上に節が少なく、とても良かったです。

夕方の感じ。

浴槽は我が家のような仕様のご希望でしたので。オープンハウスでもやはり聞かれますが、日頃のお手入れも特に大変じゃないですし、長期的に考えればちょっとカッコ良いユニットバスなんかにするより安くつくくらいだと思っています。ユニットバスなんて15年もすれば悲しい感じになって配管配線大工工事大掛かりな改修になってかなりな出費になるんじゃないかと思いますが、このやり方なら風呂桶だけ置き換えれば適切なメンテナンスで長く使えると思います。

玄関内の明かり取りのためのランマガラスもあるので水平な垂木がこんな感じに繋がって突き出してきて見えます。

そして左のスリットにインターホンとポスト口が隠れていて、表札の文字は間に合いませんでしたのでそのうち取り付きます。

それでもこれだけ開放的なので照明を全てつけると目立ちますが、必要な照明を、調光で絞ったりして使うので普段はもっと大人しく見えるかと思います。

数年前にもこのエリアで傾斜地を生かして住宅を作らせていただきましたが、平らな宅地でなく土地が傾斜して目の前にある、ということはより地面や大地、そして自然を感じることであり、その力はとても強く、そこに建物を作るということは平らな土地に作るよりずっとエネルギーがかかるのだけど、地面を持たないマンションではなく、自らの土地を持って住まう、という本当の醍醐味はこういうところにあるなあ。と改めて感じつつ、でもその強い力に対して自分がどれだけの力を尽くせたのか、と考えるとまだまだ努力をしなければ、とも思わされるような仕事をさせていただきました。

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On 4月 29, 2019
by hase
in けんちくーしごと

長谷守保建築計画

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