長谷守保 建築計画

竜馬がゆく

先日ちらりと書きましたが、しばらく仕事に追われて、小難しい本を読む体力がなかったので前に頂いてうちにあったのもあり読みました。かなりな量ですが、なにしろ面白いから良い息抜となりました。

僕は基本的に「歴史」は好きではないし、家康をやたら好き好んだりお城を建てたりするのに税金を使ったりする事は馬鹿げているというかもっと先にやるべき事があるだろ?と思ってしまうので歴史物の小説も余り読まなかったし、だからこれを読んだからって幕末が,云々を分かった振りをするつもりもありません。
竜馬が成し遂げた一番大きな事は「大政奉還」だと言っていいように思いますが、竜馬の性格のとんでもなく特異で、だからこそ大事を成し遂げたというべき部分は、つまり、全ての前提を信じない、という事だと思います。だから江戸幕府はある意味安定した平和をもたらした一方でとても強い上下関係を固定化して、藩内の全ての人間は藩を存続させる為に生きていると洗脳させられていたような状況に最初から違和感を覚え、結局それを成立させていた徳川体制を壊し、アメリカのように庶民が大統領になれるし、大統領が庶民の給料の事を考えるような国を理想としたという事みたいです。

でも全ての歴史はその繰り返しなんでしょうけれど、ある混沌から、強い者が現れ,支配し、支配される側もそれに甘んずる方が楽になり、、、でもそのうち強い者側がやり過ぎたりしてまた混沌に戻り、というような。つまり、竜馬たちが成し遂げた事の結果、西洋化というか合理主義的な国家を目指すようになり、それはまた新たな階層(金持ちと貧乏)を生んでいるけどその中で貧乏だって生活補助されたりして甘んじている、という状況が今であるとして、もし竜馬が今生まれてきたら、多分これはこれで破壊すべき状況だと思うんじゃないかと思ったりもします。

最近の僕の色々な物事の整理の仕方は「信じる」と「疑う」という反対のベクトルのどの辺りにバランスを取るかで全ての事が説明できるのではないかという事なんですが、つまり徳川時代はいくら自分が下の階級であっても藩の為に捧げる、という事を信じて疑わなかっただろうし、それが武士道として顕著だったんだろうと思いますし、でもそこに一つの美しい価値があったけど、それを疑った竜馬がいて、壊してつくった新しい社会では結局お金(経済)というものを信じてしまっているけどそこに美しい価値はあるのか?と言われると、さて信じる事と疑う事、どちらが良いのか?とは一概に言えないんだと思います。でも信じるに足るものはきっとあるし、全てを疑ってかかっていては、ずっと混沌でしかないわけで、それはそれで僕たちは安心して生きて行けない、そのバランスをどうとるか?だけが重要なんじゃないかと思ったりもする訳です。

まあ今の日本というか先進国という名前が悪いと思うんだけど世界全体が、お金、経済が最大の価値だと信じてしまっているわけですが、中国やインドのなど全てが今の日本やアメリカくらいにエネルギーや資源を使って、廃棄したら、というのはみんな遠く無い将来にくるのは感じていても、それはもう地球が破綻するしかないんじゃないか?と口にする事がタブーになっちゃっているように感じますが、幕末と同じで、竜馬たちがいなかったら、能力のない幕府と沢山ある藩が喧嘩し合っていた中でインドや中国と同じようにイギリスとかの植民地化されていた事は十分にあり得たようですから、今の状況、つまりこの経済至上主義的な状況も根っこから疑ってみなければいけない、と改めて思うわけです。
でも、竜馬は大政奉還後、ある程度新体制の道筋はつけたころ、暗殺されてしまい、しばらくして忘れ去られようとしていて、30年後にとある事があって脚光を浴びたそうです。お札に載っているいる方々みたいに老いるまで生きていろんな肩書きを貰わないとダメなんですかねえ〜

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On 10月 4, 2014
by hase
in みるーよむーかんがえる

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