長谷守保 建築計画

空間図式ーかたちの根拠


JAの「建築の空間図式」の中の、青木淳さんの「図式、感覚を含む心的な表象」についてです。
他にも興味深いところは沢山ありましたが、来週青木さんが浜松で講演されることもありまして。。
「自分を振り返れば、設計とは‥辿り着いてみないと目的地が分からないような旅行のようなものだ」と書いてられますし、当然と言えば当然なのですが、建築の具体的なかたちを生み出す事に、あらかじめ定められたものは何もなく、青木さんが「まぼろし」という言葉で表現されているように、空間の本質的なものではあり、追い求め続けるものではあるけれど、近づく事はできても、到達することはできないような質のものなのだと思います。
また「建築をつくってゆく上で、ある特定の感覚をもたらす心的な表象、つまり図式が非常に豊かなエンジンとして働きえる」、また「図式とは、まぼろしと建築をつなぐ通訳のようなものだ」と書いてられますが、結びで「ぼくたちは、今、もっと優秀な通訳を望んでいる」と結んでいます。
また例えとして図式は、「そこから現実の建築が自動的に育ってゆく、種子あるいはDNAのようなもの」と書かれています。
青木さんの「原っぱと遊園地」を読んだ時にも思いましたが、様々な環境で、様々な形を生み出し、また消えてゆく、生命体のあり方と、建築の形を重ね合わせることができるように思います。動植物のかたちにも、DNAという元がある、という以外には根拠はないのですが、それぞれに環境に適応し、またそれぞれに美しいかたちを生み出しています。
ただ、今われわれが建築をつくろうとするときは、動植物が長い時の中で進化、淘汰を繰り返して来たというプロセスにゆだねる事はできずに、そのプロセスを促成栽培的に行わざるを得ない、というところに設計の難しさと深さ、悩みがあるのだと思います。
その悩みから逃げ、安易にかたちをつくることは容易です。
ただ、そんな方には「建築家」と名乗る資格は少なくともないでしょう。

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On 11月 9, 2007
by hase
in けんちくーよむ

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