長谷守保 建築計画

異邦人/カミュ


お恥ずかしながらこの歳になって初めて読みましたが、言い訳じゃないですが今だから読みたかった本だと思っています。
主人公ムルソーには正直共感を覚えるので、僕もアブナイ奴かもしれません。
母が亡くなっても感情ひとつ表さず、葬式が終わってすぐに海で泳いでいて会った知合いの女性と喜劇映画を見て,その後男女関係をもつ。同じ宿に済む男が男女関係のもつれで男たちに追われていて、たまたま一緒だった時に、渡されていた銃でその男の1人を撃ち殺してしまう。それも冷静に?5発打込む。
そんなだから、裁判でも分が悪く、人間としての感情がない鬼のような男と決めつけられ、結局死刑に。でも、彼は死刑を前に、生まれて初めてと言っていい程の心の解放を感じる。
カミュが英語版の序に書いたという下記がとても分かりやすい。
「母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるより他ないということである。ムルソーはなぜ演技をしなかったか、それは彼が嘘をつくことを拒否したからだ。。。。しかし、生活を混乱させないために、我々は毎日、嘘をつく。。」
とてもとても、そう思う。
でもやはり、嘘を付かないと異邦人扱いされてしまうので、多かれ少なかれ嘘をつかないと生きてゆけないのかもしれない。
それでも少なくとも、嘘をついている(つかざるを得ない)という自覚を持って生きているかどうかは大きな違いだと思うし、大切な事だと思う。
その嘘は今、目の前の誰かを安心させるかもしれないけれど、それが積もり積もると社会全体がどうしようもなく不自由なものになってしまう、というかなってしまっているんだろうなあ。。
短篇だし、面白いし、是非読んでみてください。

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On 4月 3, 2013
by hase
in みるーよむーかんがえる

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