長谷守保 建築計画

無窓/白井晟一


昨日大分への10時間の往復の中で、買ったままだったけどやっと読めました。
白井晟一は、難解でつくる建築も含め重苦しい、と感じる人が大半だと思うし、僕もそう思わない事も無いけれど、大きな流れに迎合しないというよりも、そもそも全く独立をした中で自らの内面的思想の延長でつくられた建築たちから感じる「強さ」というかにとてもとても惹かれます。
松山厳さんの解説の中で、学生時代に出会った哲学者、戸坂潤が論を曲げなかったため捕らえられ後に獄死したこと等の経験から「知はいずれにせよ、凄絶」であると身を以て学んできたのではないかと、それが白井晟一の原点のひとつかと考えると言説も理解しやすくなります。
もうひとつ設計したビルが、オーナーの命令はあったようだが外壁に穴をあけられ、言語道断なこととして、復旧はされたそうだが、その件に関して「本来建築著作権の意義は義務の自覚をともなった建築自体のもつ特権を規定する以外にないと信じている」と読み、ちょっとその意図とはズレるかもしれないけれど、人権というものが侵せざるものであるのと同じことが、建築にも言えるというか建築もそうあるべきではないか、と考えてみると、現状は人権もない奴隷のような建築物(建設物)だらけなのだけど、建築も開放され、個々の建築が誇りをもって生まれ、育ち守られてゆくような環境と同時にそれに耐えられるだけの建築の質を持つ事が何よりも必要なのではないかと思いました。
人権が譲れない、という強さと同様なものを建築に求めるのであれば、やはり白井さんのような強い思想に基づいて、妥協無く生み出さなければいけない、というのが理解できるかと思います。
とはいえ、人権があるといっても、私たちは半分、国家や経済の奴隷のような面もありますので、まずはそこから脱してゆかないといけないのかもしれません。
あるべき姿を,自ら常に、いつまでも考え続ける事。それを怠った瞬間に、人間も建築も、奴隷に成り下がるのだという事を忘れないようにしなければ、と改めて思いました。

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On 11月 9, 2012
by hase
in けんちくーよむ

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