長谷守保 建築計画

浜松市公共施設再配置計画

浜松は好きなんですよね。全国にさきがけて取組むのが。まあ悪い事ではないですし、これも悪い事ではないです。
1970年頃から沢山建てられた公共施設がそろそろ老朽化して、という全国的な問題は今後更に大きくなるでしょう。

浜松市は「当時の企画部内に資産経営課を設置、指針となる『浜松市資産経営推進計画』を発表し、そこでFM(ファシリティマネージメント)の観点から『保有資産の縮減と効率的な施設運営』『既存財産の戦略的な有効活用の推進』『安全で快適に利用できる施設サービスの提供』という目標を掲げた。」
そしてデータを一元化、「施設カルテ」を作成、そして、建物の廃止や機能移転、統合や建替え(ダウンサイジング)などを進めているというような事らしい。
手法としては良いのだろうなと思います。

が、本当の目的は何か?当然ですが限られた税金の中で最大限の市民の満足をを得る、という事だと思うのですが、市民の満足、というのが本当に反映されているかどうか?数値でもって判断をする事によってそれが見失われて形式かする恐れがあるのではないか?所管が「財務部資産経営課」だそうですが、そこに建築の「質」を問う土壌があるのか?
本誌に、ドイツに建築の視察にいく日本人が、新しく建てる時にドイツ人はどのくらいの寿命を想定しているか?と聞く事が多いがドイツ人はそんな事は考えていない(当然長い)とありましたが、だいたい1970年台に建ったもの、まだ40年程しか経っていないし、その頃にはもう人口が今把握されているような減少局面に入ることはある程度想定されていたようですが、なのに40年で根本的な配置計画を見直す、なんてのは無駄と分かって無駄なものを沢山つくりましたね?ということじゃないでしょうかねえ?

まあ過ぎたことは置いておいても、そしてこういう見直しをすることは良い事だとは思うけれども、だからこそ是非、これからつくるものくらいは、40年で壊さなきゃいけないものはつくるのやめましょうよ。どうすれば50年100年使い続けられるか?そのためには今の設計入札なんてやり方じゃ無理だということに気付きましょうよ。設計者選定と設計料でや場合によっては市民を巻込むことで、事業費が1割増そうが、寿命が伸びたり、地域で愛され使われるようになったりすれば十分元は取れるし、その方がまちなみも少しでも豊かになるし僕らの気持も豊かになるし、良い事づくめでは?

恐れているのは、こういう数値的な評価をする事によって、さらに上記の反対をゆくような、少しでも余計なお金をかけずにつくらなきゃダメだよね、って方向に向かうことで、FMって考え方は結局ある一定期間(長くて数十年)の中で合理的であることを目指すので、たとえれば、飲食店のように表面上少し工夫してある程度人が集まれば、そのうちボロがでたらその時つくりかえればいい、という発想になりやすいと思うので、結果FMで出来た施設に本物感があるものはないように思っています。つまり「文化」という観点が無視されざるを得ないのではないかと危惧しています。

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On 6月 30, 2014
by hase
in 浜松のこと

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