材木。

  • 2010.07.31
  • BLOG


それなりの数の木造住宅を設計させて頂く中で、最初は、余り木材を見せるなんてちょっと野暮ったくなる(そんな実例が多いから)からと、構造材を余り見せない事も多かったのですが、構造材を隠してしまう事がちょっと単調な、軽い感じがしてきてしまい、また、それりに材木をコントロールできればとても緊張感がある空間が出来る事を実感してきました。
でも、そのコントロールするという事にいかにコストをかけすぎないかというのは大切な所で、通常に製材されたものから買う、という事の限界を感じていました。つまり、昔程ではないにせよ、特に節が少ない材木というのは、必要以上に高く扱われているように感じ、逆に言うと、ある程度の良い材木がもう少し安く買う事がきるはずだと感じます。
そして、それを乗り越えるには、既存の大きな流通経路ではなくて、もっとこじんまりと丸太を製材しているようなところと組む事が必要なのではないかと。
そんな事を話している中で紹介されたところに先日行って来ました。
僕が年間設計させて頂く程度の木材の生産をしているくらいの所でして、親子でとても思いをもって仕事をしていました。
木材は、工業製品とは違って、扱い方一つで、よくも悪くもなります。
同じ丸太でも、その挽き方によって結果が変わってきますが、正直そんな風に扱われていない事がほとんどで、とにかく地域材、天然乾燥材であればそれだけで価値がある、という売り方をされてしまっているように思うし、それが、木材の価値を結果減じてしまっているように感じてきました。
それがそう簡単に乗り越えられる事でないくらいは良くわかってますが、今回の出会いが、何か良い方向につながればよいなと、設計者として、自分なりの思いを伝え、何か引き出したいなと思います。
料理も素材で全く変わるように、そして、そんな特殊なものでなくても、ただ新鮮であればそれで十分美味しいように、木材も扱い方次第で、決して高くなく、良い材料が得られ、それによって美しい建築ができるという事を実践し、積み重ねてゆきたい、と思っています。