長谷守保 建築計画

杉の芯去り材


少し前にうちの材料を杉の芯去り材というのでやっている事は書いたかと思います。
今時聞かれない事なのでネットで調べたり材木屋さんなどに聞いても、悪い話ばかりで、今のほとんどがそうであるように芯持ち材の方が強度もあり暴れもないという話ばかりなのです。
確かに大壁(柱を見せず壁の中に隠してしまう)では材の見栄えは関係ないので安いに超した事は無いという価値観でしょうし、世の中の99%の家はそうでしょう。という中では市場は安く供給しやすい材を「良い」として消費者に売り込むというのは自然な流れでしょう。
芯持ち材は芯を中心に四角く製材するので、最小限の直径の丸太でつくる事ができますし、断然その方が安い。でも芯持ち材は割れやすいので「背割」が無いとどこからか割れが入ってしまいます。
まあ大壁なんだからそんなのは構わないだろうけど、真壁で柱が見えたらそんなのは見せられない。
芯去り材は決してそんな割れは出にくいし、何しろ「柾目」が出るので材として美しい。
寺社や茶室など良い木造建築は例外なくそうだという事が、材の良さを物語っています。
確かに芯去りで取るには大きめの丸太が必要で、確かに高いですし、実際芯去り材なんて実はほとんど流通していない。誰も敢えて求めない時代になってしまっているから当然なんだろうけれど、でも何故求めないのか???お恥ずかしながら今頃そんな疑問を持っています。
ちょっとのコストとちょっとの工夫で出来るはずの、そして一昔前は普通にやっていた事が、今は出来ない理由、それは住宅産業側の身勝手、エゴ、怠慢。
この材木の話以外にも沢山沢山ありますが、消費者にはうわべの良い事ばかり言って、私たちはあなたの味方で最高のものをつくって居ますといった顔をしていますが、実はそんな身勝手や怠慢を笑顔の裏に隠しているだけの、商売屋さんばかり。
僕が今まで必要以上に材木や地域材に肩入れをして来なかったのは、それをやっている諸先輩方が、言っちゃ失礼ですが、デザインが洗練されていないから。つまり野暮ったい。
でも前から思っている事ですが、お寺も茶室も木の空間はとても洗練されています。
今になってやっと、そんな事が、今、住宅という世界でも追求できるんじゃないかという事が分かったように思いますし、僕は洗練されていないものを目指すつもりは全くないので。。
あ、なんか僕、新興宗教にはまった人みたいに語っている(^_^;)。
余談ですが、画像の中に9mの梁材で、ほぼ無節の材がとれたよ〜って棟梁が言ってましたが、そんなの実は買おうとすると恐ろしい値段だったりしますが、意外とあっさりとそんな事もできるもんです。
と言ってもここに至るまで、そしてこれからもなかなか大変な道のりですが、前向きにチャレンジですね(^o^)

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On 1月 26, 2010
by hase
in けんちくーしごと

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