長谷守保建築計画

日本辺境論



先日trsgrさん(一体どんな方なんでしょうねえ。そろそろお会いしたいものです)に勧めて頂いて、僕はついつい余り話題になっていると避けてしまう悪い癖があるのですが、さすがに良書でしたしとても読み易かったので、おすすめです。
論点はとてもシンプルです。
日本人は古来から、外部に「中心」があり自らは「辺境」であり、常にその「中心」に「キャッチアップ/追いつく」してさえいれば良いという存在だったと。古来の中心は中国であり,戦後はアメリカでありと変わったけれど、キャッチアップ体質は一切変わっていないと。だから自ら(つまり日本に)正統性を求める事も無いから常に変わり身が早いし,新しいもの好きで、それをとても良く分析した丸山眞男などもいたけれど日本人はそんな自らを知る事ができる大切な論も読んだら忘れてしまうので、だからこそ内田さんはそれをなぞってでも繰り返し「反復」する事が大切と考えて本書を書いたという事です。
そして、決してその辺境性は必ずしも悪いものでも、かといって誉められたものでもないけれど、日本人の、そしてとても特筆すべき特徴だから、きちんと自覚する事によって、目先の混乱した状況が多少は見通せるのだろうと。
他にもそのシンプルな事実が元となって何故日本がこうなのか、という面白い話が沢山書かれているので、あとは是非ご自分で。
でも何となく馴染みのある感じだと読み進んだら最後に、岸田秀さんの日本人の分裂症的なアイディアがきっかけだったような事が書かれていて、なるほどという感じでした。
そしてせっかくなので最近の家普請(くどくて済みません)と絡めてみると。
つまりは日本人は,それが正しいのか、自分たちにあっているのかという事ではなく、外部に協力な中心、「世界標準」みたいなものを探し、それに「準拠」していればそれで良いという、ハウスメーカーに無批判に買わされて平気な日本人の体質が浮かび上がってきたりします。
じゃあそれでもいいんじゃ?と考えることもできますが、昔の中国や強い米国、という単一(に近い)な安定した中心があった時代は未だ良かったにせよ、既にそして今後もそんな安定した中心などないわけで、だからか今の日本は混迷をしているように思いますし、やっぱり何かを選択する時にはその「辺境性」を自覚し超えなければ更に混迷するだけのように思います。
でも、その辺境性によってこそ生まれた、日本人の独特な構えのようなもの。そこには他国には真似のできない誇るべき部分もあるということ。それは皆で知り、伝えてゆきたいものですね。(でもくどいくらいに言わないと日本人は流してしまうのですね。笑)

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On 11月 8, 2011
by hase
in みるーよむーかんがえる

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