長谷守保 建築計画

日本建築史再考/虚構の崩壊

以前譲って頂いた建築関係の本の中にあったのを改めて読みました。
40年前。サブタイトル「虚構の崩壊」と「明治以降わが国に育って来た、近代化思想、進歩思想の視点による、日本近代建築」は虚構であり崩壊したと宣言するような結構ハードな内容を50周年記念としてやったんだからすごいな。10年後100周年記念号ではどんな風になるのか興味深いですね。

「ミスタータンゲが帝王のように浮かび上がった、あの仕掛けが今は白々しい近代化の知的遊戯だったとさえ感ぜられるほど」という表現のようにまだまだご存命だった丹下さんをこき下ろし、「前川国男、丹下健三、村野藤吾、だれがもっとも長い作家として生命を保っているか、名作を遺しているか」と村野さんを「もっと多くいるようで、実は決定的に不足している、ひとつのタイプ」であると持ち上げています。

またその丹下的なものは「官の系譜」はコンドルのような外国人建築家、教師に始まり、学問として主流派となり、官の系譜が「近代化の一筋のベルトコンベア」となった事に始まった帰結として生まれた、とするのだけど、欧米に追いつき追い越せで日本人らしさなんてものをすっかり失ってしまった事とも重なるだろう。
一方の村野さんは生涯プレゼンチスト(現在?主義者)を自任していたのですが、つまりは歴史や権威や未来にひきずられたり流されたりするのでなく、その瞬間に可能な最大の事をするべきだという、だから本当に様々な形や素材を使ったし中には良く分らないものもできてるけど、お決まりの勝ちパターンみたいなものに頼らずその瞬間に全力を尽くすというか。

外側に対する「進歩軸」と内面に対する「充実軸」という風に分けて、余りにも「進歩軸」に偏り過ぎて来たという反省としてタンゲ的なものがやり玉に上がっていますが、丹下さんを否定する訳ではなく、その二つの軸をもっとバランスよくすべきだった、という反省だったのですが、さてその後40年過ぎ、今もまた違った「進歩軸」つまり目新しい表現や目新しい構造にばかり眼が向き、充実感が感じられないのは私だけでしょうか??歴史は繰り返すものですよね。

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On 1月 13, 2014
by hase
in けんちくーよむ

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