長谷守保 建築計画

日本人にとって美しさとは何か

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良く言われるように、日本人ってやっぱりとても特異で、今の世界の主流なものの考え方、感じ方とはかなり違う部分を今も持ち続けているのに、それを直視しようとしないから日本がより悪い方向に進んでいると僕は感じているので、という意味で本書はとても興味深かったです。

西欧との対比が様々にされていて、その中でも気になったものをいくつか。

西洋の庭園には噴水があって自然の力に逆らって水を上に上げるけど日本にはそんなものはなくて滝から自然に水が流れ落ちる。

西洋の絵画はある視点からいかにリアルに描き、また見えるものは全て描き切るけど、日本のそれは視点が定かでなかったりいくつかの視点が混ざっていたり、背景が全く描かれなかったりする。

日本には歌舞伎などの世界には「襲名」があるが西洋人にとってある役者とはその役者でしかないので理解ができない。

観光名所絵葉書を見ると日本ではお寺とかはいつも紅葉や雪の背景としてあるが、西洋では教会などそのものが季節感もなく据えられる。

「古池や蛙飛び込む水の音」は蛙が1匹なのか複数なのかで情景が随分変わるが、英語なら複数ならsがつくのではっきりするが日本は聞いた人間が自由に解釈をできる。

日本ではドラえもんなどロボットは人間の友として描かれるが、西洋では脅威としてとらえられる。

。。。と、なかなか違いますよね。

でも何故違うかと言えば、やっぱり西洋は全能の神が人間を創造したので自然界より人間が優れているし、人間が自然界を支配できる、という基本的な部分が上記全ての原因だと思います。西洋人にとっては人間は合理的存在なので、解釈は一通りしかあってはならないという事なのかな。そして機械は所詮道具なので人間存在に近づいては決してならないのだけど、日本では昔から道具に名前をつけて人格化したり平気でしたりもする。

最後に、「襲名」は?というと、西洋的な「個人」が日本にはなくて、集団の一構成員であり、さらに自然の一部でしかない、という考え方が日本にはあったからだと思いますし、そうだからこそ日本における様々な「道」もとても高いレベルに至ったのかな?と思います。

 

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On 1月 24, 2016
by hase
in BLOG, みるーよむーかんがえる

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