新建築10月

  • 2012.10.03
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「ドナルド・マクドナルドハウスは病院の付属施設、主に難病を抱えたお子さんをお持ちの家族のために病院(東大病院)の側につくられる宿泊施設」で、企業からの寄付金によって運営されているそうです。本当に困っている方には本当に助かるんでしょうし、そんな不安な精神状況の中、少しでも良い、心鎮まる環境で過ごせるというのはとても大切なことなんでしょうね。
横河健さんの設計はとても端正につくられていて好きではあるのですが、少し糊の利き過ぎたシャツというか、特に住宅や小規模な、ゆったりとしたい用途の建築においては、少し固すぎるように感じることもあります。
それよりも横河さんはこの仕事に関われたことをとても幸せに感じつつも「残念だったのは、この建物の開所式、竣工式である。建築の竣工式であるにもかかわらず建築のケの字も無ければ施設の説明も冴えてもらえないという有様。最後になって感謝状贈呈、、、と建築の中身と関係なく、全くの業者扱いが普通なのだろうか?」という、そしてそれが「普通」というか日本においては常識であること自体が、作品の質云々を語るよりも一番問題なのだ、ということをたまに語られはしても、大きな声にしない、できない、というのが体質として大問題なんだと、昔から思っています。
それなりに有名な建築家になれば、そんなこと言わなくても良くなってしまうし、それほど有名でもない建築家/設計者がそんなこと大声で言っても誰も相手にしない。からでしょうか。
今月号は医療福祉特集だったようで、多くの建築家のコメントが寄せられていて、ほとんど病院などやってきていない建築家は、病んでいる時だからこそ心が満たされるような場にすべきだ、と言い、組織設計など病院を手がける方は、効率やら時代やらにいかに対応するかを言い、つまり本当は前者がとても大切なんだけど実際設計者となるやいなや、後者の考えに染まらざるを得ない、だから「業者扱い」を抜けられないのかもしれないな、とも思いました。つまり建築というのは数値化できない質を形にするという、設計の思想こそが何よりも大切だということが社会的に理解されていないというか。。
最後に、東日本震災の津波で立ち枯れた巨木をつかったあさひ幼稚園ー手塚建築研究所設計、が完成したようで、上部構造のとても力強いというか強すぎる面を、全面を階段として基壇をつくってバランスをとった外観はさすがだな、と感心しましたが、内部の梁に集成材が使われているのをみて、ちょっと唖然としました。ちょと貼れる画像はなったのですが、ムクの太い柱との対比ですごく残念に見えるのは私だけだろうか??
理由は推測できますが、それを乗り越えるべきプロジェクトだったように思いました。